冷房が効いた東京ドーム。灼熱(しゃくねつ)の太陽が降り注ぐジャイアンツ球場。1軍とファームの環境には違いがある。

今季、その2つを行き来している中山礼都内野手(20)が7月上旬、再び1軍の遊撃を守り始めた。巨人主将の坂本勇人内野手(33)が腰痛のため同7日から離脱。約1カ月ぶりに坂本の穴を埋めることとなった。

同10日のDeNA戦(東京ドーム)ではマルチ安打に1打点、1四球と活躍。一方で同13日の阪神戦(甲子園)では7回に失点につながる失策を2つ続けてしまった。一進一退。高卒2年目が厳しいプロ野球の世界でもがき続けている。

振り返れば5月の始めから6月8日までの期間、ほとんどの試合を遊撃でスタメン出場した。その時も右膝のケガで、坂本が離脱していた。

6月中旬。主将が1軍復帰すると間もなく、2軍へ戻った。ジリジリと焼けるような日差し。水をまいた内野もすぐに乾いてしまい、風が吹けば土ぼこりが舞い上がる。ユニホームにたんまりと汗をしみこませながら、再び1軍で戦える戦力を養おうと一心不乱にバットを振った。

初出場、初スタメン、初安打、初打点、初盗塁-。華やかな舞台であらゆるプロ初を経験した後、再びファームでしのぎを削る生活に戻った率直な気持ちを聞いた。

「こうやって1軍に上がって、レギュラーが取れなかったわけです。だからもう1段階も2段階も、いやもっと総合的にレベルアップできるように取り組んでいます」

1軍デビューを果たしたときの目の輝きとはまた違う、獲物を狩るような鋭い目つき。巨人にとどまらず球界を代表する坂本に、真っ向からレギュラー奪取を宣言する若者の悲壮感に、アスリートの原点を垣間見た。【巨人担当 三須一紀】