<ソフトバンク3-6オリックス>◇12日◇ペイペイドーム

獅子のシッポを捕まえたと思ったら、するりと手から抜けてしまった。敵地・千葉でロッテに3連勝。超ハード日程の8月戦線。コロナ禍に故障禍も加わって苦しく厳しい戦いが続くソフトバンクに浮上の兆しか、と思ったが、本拠地ペイペイドームに戻った移動ゲームでオリックスに悔しい逆転負けを喫してしまった。首位西武とは1・5ゲーム差。振り向けば3位オリックスとは1ゲーム差となった。チームはジャスト100試合を消化。まだまだムチを入れる時期ではないだろうが、連戦が続く中でも1戦1戦の「反省」はしっかりしなくてはならない。

「反省」と言えば、11日に65歳の誕生日を迎えた孫正義オーナーが何度も口にしていた。8日にホークスの親会社であるソフトバンクグループの第1四半期決算の説明会があった。この半年で約5兆円の損失となった。「創業以来、最大の赤字」と低くつぶやくように話した孫氏は大損失を招いた経営判断に「有頂天になる自分があった。恥ずかしいし、反省している」と言った。示される数字があまりにも天文学的であり、現実離れしているものの、「NO・1でなければ勝者ではない」の哲学を持つ孫オーナーにとっては、屈辱的な数字であったことは確かだろう。

ペナントレースと比較するのは畑が違いすぎるが、初回に2点を逆転しながら再び試合をひっくり返された。先発杉山の不安定な投球も攻撃のリズムを奪ってしまったのかもしれないが、失点以上の得点を挙げなければ白星は手にできない。孫オーナーは今回の投資戦略の失敗について「いっぱい打席に立って振りまくってしまった」と野球を引き合いに出して表現していたが、この日の打線は2回以降は2安打と沈黙。移動の疲れもあったろうが、野手陣にはもっともっともっと振りまくってほしかった。【ソフトバンク担当 佐竹英治】