<ソフトバンク10-0ロッテ>◇25日◇ペイペイドーム

大きく両手を広げて4度宙に舞った。「広い宇宙でただ1人だけという最高の気分」。そう表現したのは世界の王だった。23年前の9月25日。ダイエーが初Vを決めた。球団が福岡に移転して11年目の悲願達成。その後のホークスにとっては常勝への起点となる「初V記念日」でもあった。

ソフトバンク対ロッテ 7回裏ソフトバンク2死一塁、今宮は左越え2点本塁打を放つ(撮影・屋方直哉)
ソフトバンク対ロッテ 7回裏ソフトバンク2死一塁、今宮は左越え2点本塁打を放つ(撮影・屋方直哉)

2年ぶりの覇権へ、藤本ホークスは試練のVロードを進んでいる。初戦こそ落としたものの、本拠地でのロッテ4連戦は、これで連勝。板東のプロ初完封勝利に、エース千賀が6回無失点の粘投で2戦0封勝ち。打線は甲斐の今季初本塁打に、中村晃、今宮も呼応。アーチ3発を含む2ケタ得点で大勝した。本拠地ペイペイドームは今日26日が今季最終戦。ホーム球場での「胴上げ」はできなかったがVマジックをさらに減らして最終ロードに出てもらいたいものだ。

ソフトバンク対ロッテ 3回裏ソフトバンク無死、周東は三塁前へのバントで一塁に駆け込む(撮影・梅根麻紀)
ソフトバンク対ロッテ 3回裏ソフトバンク無死、周東は三塁前へのバントで一塁に駆け込む(撮影・梅根麻紀)

大勝に終わった試合だったが、やはり大きかったのは「先手」を取った3回の攻撃にあったように思う。3回表に2死満塁とされたが、先発千賀が無失点で切り抜けると、直後に先頭周東は三塁前にセーフティーバントを決めて出塁。連戦の疲労でバットの振りが遅くなっていると、試合前に藤本監督は周東の打撃について話していたが、自慢の足は健在。甲斐がきっちり送って1番三森が右翼線を割って先制。牧原大も続いて2点を挙げた。つながりを欠くロッテ打線とは対照的にチャンスを確実にものにした。柳田、デスパイネの主砲2人で1安打に終わっても完勝したのだから「つなぎ」の意識は残る6試合もさらに高めてほしい。「初V記念日」の快勝で、さらにチームの勢いを増してもらいたいものだ。【ソフトバンク担当 佐竹英治】