3年前の雰囲気が出てきた。窮地に追い込まれていた矢野阪神が4年連続クライマックスシリーズ(CS)進出に近づいた。27日、28日のヤクルト2連戦(神宮)に連勝して自力CS進出の可能性が復活。9月30日に広島が敗れたことで3位争いの行方は阪神、巨人の2球団に絞られた。巨人の結果次第では1日にも進出が決まる。

思い出すのが2019年、矢野阪神1年目のシーズン最終盤だ。6試合を残した時点で3位広島と3ゲーム差の5位だった。そこから白星を重ねて広島に並ぶと、シーズン最終戦の30日中日戦に勝って広島を0・5ゲーム差でかわした。怒濤(どとう)の6連勝で奇跡のCS進出。驚異の粘り腰を見せた。

今季の開幕前日。矢野監督は選手を集めた練習前ミーティングで、宝物にしている1枚の写真について語った。19年CSファーストステージのDeNA1戦目(横浜)。8回に北條が逆転三塁打を放ったワンシーンだ。劣勢からシーズン終盤にCSの壁をこじ開けて、横浜に進撃。諦めず生き生きと野球を楽しむナインの姿に、試合後、感情が高ぶり涙した。

苦しいラストシーズンを過ごした指揮官は力を込める。「そういうことばっかり言ってきたんで、この4年間、2軍監督の時から合わせたら5年間。諦めないって、すごい言葉で言うのは簡単やけど、それを行動に移すっていうのはなかなか難しい。でも、みんなしっかり自分たちのものとして持ってくれている」。矢野監督が涙を流した横浜で、ナインが躍動する姿を今年も見たい。【阪神 桝井聡】

19年、DeNAとのCSファーストステージ第1戦、8回に2点適時三塁打を放った阪神北條
19年、DeNAとのCSファーストステージ第1戦、8回に2点適時三塁打を放った阪神北條