ちょうど1年前の宮崎秋季キャンプでは、新監督に就任した藤本博史監督(59)が3人のレギュラーを確定させていた。その3人は捕手甲斐、右翼柳田、左翼栗原だった。一転、今年はいまだにレギュラー内定の名前は挙がらず、「白紙」を強調している。リーグ最終戦で優勝を逃し、本気でチーム内の競争をあおっている。

指揮官は「実績はある程度考慮する」と話しているが、具体的な名前はいまだに出ない。主砲柳田は2年連続のキャプテンに任命したが、柳田すらレギュラー確約というわけではないのが現状だ。頭の中で描くものはあるのだろうが、報道陣に言わないメリットは存在する。

6日には4年目の野村大に指揮官自ら約70分間、300球以上のノックを課した。今季1軍デビューを果たし、開花が期待される若鷹の1人。主戦場はサード。仮に来季からサードに転向する栗原がレギュラー確定ならば、モチベーションの維持に苦戦することは想像に難くない。他のポジションも同じ。ほぼ当確だとしても、今は競争心をあおり続けていい。

藤本監督は10月31日にも、出塁率3割2分4厘に終わった周東に「俺みたいな(速い)足がない、内野安打もないバッターでも通算3割3分7厘の出塁率があるんやで。それより低かったら…。周東の足を持って、3割2分は低すぎるよね」。自慢と自虐を交えつつ、愛のゲキであおっていた。ナインの心に闘争心を湧き上がらせてほしい。個人的に、レギュラー白紙を公言し続けることには賛成だ。【ソフトバンク担当=只松憲】