西武の南郷キャンプを初めて取材した。赤田将吾外野守備走塁コーチ(42)の母校でもある日南学園(宮崎)の近くに宿泊した。「高校時代も行ってましたよ」という学校近くの洋菓子店「キネヤ」のおにぎり型のクレープはうわさ通りの美味で、クリームプリンは至極の一品だった。

赤田コーチは鹿児島・大崎町の生まれ。福留孝介氏や広島松山らも同郷だ。「同じ中学からプロ野球選手が5人。すごいですよね。共通点? みんな骨太系かな。うちの浜屋以外は」と笑う。現地休暇の日、実はソフトボールが盛んなことが輩出の“ヒミツ”らしい大崎町を眺めながら、鹿児島、熊本と走った。

行けば分かる。県民性という言葉があるように、やっぱり何となく「違い」を感じる。自治体単位でもいろいろな個性がある。旅好きが高じ、全国1741市区町村制覇を目指すようになってはや10年。到達度は97%を超え、2度以上到達した市区町村数もあと「1」で5割に達する。

1月から西武担当になった。初対面の選手らとも、地元ネタを話すことがやっぱり多い。前出の浜屋将太投手(24)には昼食にオススメの店を尋ねたが「最近どこもお店を締めちゃってるんです」と寂しそう。実際に大崎町を走ると、浜屋の言葉をずしっと感じる。少し先の肝付町のスーパーでご当地パンを買った。

会社に学校に、日本全国にはいろいろなコミュニティーがある。近隣出身者だけで成るコミュニティーも数多い。

プロ野球チームはその点、珍しい。各地でそれぞれの土地の自然や教育の中で育った選手たちが、100メートル四方に一堂に会し、リーグ優勝という目標に向かって戦う。出身地を抜きにしても、別の性格や思考を持った人々がチームになり、同じようでちょっと違う相手とぶつかり合う。紙一重の勝負には案外、そのちょっとしたことが作用したりもする。

昨季まで担当したロッテは東北地方や北陸、茨城や千葉の出身者が多く、西武は群馬、熊本、沖縄出身者が比較的多い。影響力のナゾトキは極めて難しそうだが、このあたりもペナントレースの何かに関わったりするのかも。「しない」とバッサリ言われたら、もはやそれまでですが…。

最後に、球界関係者にもたまに聞かれるので、未到達の自治体を列挙します。

北海道礼文町、利尻町、利尻富士町、奥尻町、福島県浪江町、双葉町、大熊町、富岡町、東京都利島村、新島村、神津島村、三宅村、御蔵島村、八丈町、青ケ島村、小笠原村、新潟県粟島浦村、島根県隠岐の島町、海士町、西ノ島町、知夫村、長崎県小値賀町、大分県姫島村、鹿児島県西之表市、中種子町、南種子町、屋久島町、三島村、十島村、喜界町、徳之島町、天城町、伊仙町、和泊町、知名町、与論町、沖縄県伊江村、伊平屋村、伊是名村、渡嘉敷村、座間味村、北大東村、南大東村、久米島町、粟国村、渡名喜村、宮古島市、多良間村。

以上48市町村。どこが最後になるのだろう。今年のうちに1つは行きたいです。【西武担当 金子真仁】

西武松井監督から開幕投手を伝えられた高橋光成(中央)はナインからチョコレートケーキを贈呈されガッツポーズ
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