中日から日本ハムへトレード移籍した山本拓実投手(23)が7月22日のオリックス戦(ほっともっと神戸)で移籍後初ホールドを挙げた。1点リードの6回に2番手で登板。リードした場面で初めて投入され、見事に3者凡退と首脳陣の期待に応えた。残念ながら、その試合もチームは逆転負けで大型連敗は止まらなかった。山本拓の節目の記録も取り上げられることはなかったが、着実に新天地で足場を固めている。
そんな右腕が大事にしている心構えがある。
「普通に投げるだけ」
どんな場面でも、気負いすぎずに自分のベストボールを投げ込む。金言を授けてくれたのは、17年途中まで日本ハムに在籍した谷元圭介投手(38)だった。
自身と同じ身長167センチの小柄な大先輩に師事したのは21年オフのことだ。
山本拓 僕はプロ3、4年目が1軍で9試合しか投げられなくて。2軍でも打たれていて、このままじゃクビになると思った時に誰かに学んで、もうひと伸びしたいと思った。自分と一番近い(特徴を持つ)谷元さんが自分に合ってるんじゃないかと思って谷元さんに(合同自主トレを)お願いしました。
日本ハムではブルペンに欠かせない存在だった谷元。セットアッパーだけでなく、クローザーも経験(16年日本シリーズでは胴上げ投手)。また、試合序盤や中盤に訪れる勝負どころでの火消しや先発に回ることもあった。スクランブル対応に優れ、中日移籍後も同様に活躍する姿を見ていた山本拓はプロで生き抜く道しるべを合同自主トレで問うた。
山本拓 僕が伝えてもらったことで、深いなと思ったのが「普通に投げるだけ」っていう言葉です。イニング途中のすっごい場面で行ってパッて抑えて帰ってくるみたいな火消しをやっていた谷元さんに「ああいう時って何を考えてるんですか?」「この球、失投したら終わりとか思わないですか?」っていうのを聞いたんですけど、答えは「普通に投げるだけ」と。確かに、調子がいい時って何も考えない。悪い時は甘くなったら…っていうような何か邪念があるから投げミスが起こると言われました。
今季はシーズンが始まる前から谷元の教えを基に、目の前の結果に一喜一憂せず、やろうと決めていた。良くても悪くても結果に引きずられることなく、1軍にいても2軍にいても常に「普通に投げる」ことだけを意識した中でトレード移籍の転機が訪れた。
谷元からは「めっちゃチャンスやぞ。思い切ってやれよ」と声をかけられた。山本拓は「1つのいいきっかけ。とにかく何が起こっても普通に。それを、すごい意識してやろうと思っています」。山本拓には日本ハム出身の谷元から学んだ、立ち返れる原点がある。【遊軍=木下大輔】




