ソフトバンクが再び強くなるためには何が必要なのか。最近、取材現場でよく耳にする共通事項がある。各々で言葉は一貫していないが、とにかく泥臭さ、必死さが足りない。
昨秋のキャンプでは最先端技術を使ったデータの秋を過ごした。身体能力やスイング軌道などを細かく数値化。取り組み自体は小久保監督も評価している。球団が主体となって練習メニューも細かく決めた。ただ、それで満足している選手が多いという。
14日、小久保監督は今春キャンプで「全体練習を早めに切り上げるスケジュール」という構想を立てた。思惑はいろいろあるが、理由の1つに自主練習の確保がある。現役時代は練習の虫だった指揮官。「俺の現役時代とは真逆。チーム練習はちゃんとやってもらうよ」と前置きして言った。 「俺はなんでこんなに全体練習長いんやと思ってた。14時に全体練習が終わってくれたら、夕方まで振らんでいい。5時前には終わってる。やる奴は自分でやるよ。そんな奴しか一流になってない。俺らが決めた練習メニューをノルマ科してとか、そんなんじゃ伸びない」
簡潔に言えば「与えられたメニューで満足しては一流にはなれない」ということ。指揮官のナインに対するゲキとも言える。そういえば9日に始まった新人合同自主トレも練習メニューがきっちり細分化されていた。ルーキーにとってはまだ駆け出しの段階だが、すでにプロ生活はスタートした。球団の決めたノルマで満足してしまわないか、心配になる。プラスアルファの意識はあるか。
育成契約からソフトバンクの主力、侍ジャパンに這い上がった牧原大は「今の育成の子たちは必死が足りない。環境にも恵まれすぎている」と話していた。奥村政稔4軍ファーム投手コーチ補佐も「今はデータがすごいですよね。回転数とか回転軸とかいろんなものが出る」と感銘を受けながらも「データに行き過ぎるのもよくない」と危ぶんでいた。メリットとデメリットは表裏一体である。
メジャーにも負けない「世界一のチーム」を目指すソフトバンク。12球団初の4軍制、最新型のピッチングマシン、分厚い選手層。その前に何か1つ、忘れているものもある。フロントも含め、泥臭さはあるか。4年連続日本一から3年連続のV逸。見栄えではなく、ファンは優勝を待っている。【ソフトバンク担当 只松憲】




