佐藤輝明の豪快なアーチで盛り上がった球場のムードをあっという間に持っていってしまった-。そんなインパクトを感じる育成ドラフト2位ルーキー福島圭音(けいん)外野手(22=白鴎大)の活躍だったと思います。6回に放った同点適時打に加え、7回には最大のアピールポイントである走力をしっかり見せつけました。
前日の紅白戦でも安打を放っている福島はきれいに腰を回すレベルスイングができています。ムダのない打撃フォームに徹しているという感じですね。甘いボールをしっかりとらえていくタイプでしょう。
この日も前日も出塁はしたのですが、前に走者がいました。評判の走力を見たいと思っていましたが、それができない状況だったのです。この日もないかな、と思っていましたが、ベンチの計らいで7回に代走に出ました。そのチャンスを1発でモノにするのだから、なかなかのものです。
目を見張ったのがスライディング。正直、スタートはまあまあでしたが、そこから加速し、二塁ベースのギリギリまで滑り込まないスライディングを見せました。ベースの手前でダラーッと滑り込むのではなく、最後まで我慢する。こうすると速度が落ちないし、きわどいタイミングになったとき審判が思わず(セーフと)手を広げてしまう場合が多いのです。
これはベースに足を引っかけるなど故障の危険もあるのですが、ベースを利用してすぐに立ち上がり、次のプレーにつなげられるという利点もあります。現役時代にともにプレーし、5回も盗塁王を取った赤星選手もこういうスライディングを見せていたものです。
そんな技術に加え「オレを見てくれ」というギラギラしたものを福島からは感じました。この短い時間で強烈なイメージを残したのは間違いないでしょう。少し話した岡田監督も「エエやろ」と笑顔を見せていましたし、今後が楽しみな選手だと思います。(日刊スポーツ評論家)