ホークス常勝の礎を築いたダイエー根本陸夫監督(故人)は、春季キャンプ中に面白いことを言っていた。

「どこが優勝するのか。もうこの時期にはシーズンの順位は決まっていますよ」と。各球団が鼻息荒く鍛錬の日々を送っているさなかである。当時66歳の指揮官は「ふふふ」と笑って担当記者を見渡した。誰かが「どのチームなんですか?」と聞いた。質問者に視線を向けると、ニタリと笑って言った。「それを証明するためにシーズンの戦いがあるんですわ」。禅問答のようで、分かったような分からないような話だった。

編成面も統括していた根本さんだけに、オフの補強が成功したチームのことを指しての発言のような気もする。「戦力がなければ、優勝はできない」とも話していたから、グラウンドにどれだけの戦力を送り込むことができるかが、Vの必須条件と言うことなのだろう。「まあ、シーズンになればケガなどの外的要件も加わるから、それを含めて選手編成を考えておかないと」も付け加えた。

4年ぶりのV奪回を目指す小久保ホークスは、オフにFAで山川を獲得。巨人とのトレードでウォーカーが加入。手薄だった「右の大砲」2人がメンバーに名を連ねた。キャンプイン前、小久保監督は訓示で「2W1H」を選手たちに説いた。04年12月の球団創立に掲げられたスローガン「目指せ! 世界一」を引き合いに、近い将来、実現するかもしれない世界一戦に向け「世界一へのチャレンジャーとしてふさわしいチームになる(どこに向かうかのWhere)」「それがなぜ(Why)、必要? それはスポーツは永遠の感動を生むから」、そしてそのためには「どう(How)するのか」。目標達成へのプロセスには、王イズムの継承と最先端技術の導入が欠かせないと力説した。

呼応するように14日のバレンタインデーには、今シーズンに向けた球団キックオフミーティングが行われた。三笠GMは今季の球団テーマを「最強の追求」と話し、早くも気勢を上げた。A組キャンプは23日に打ち上げ。対外4試合を消化して福岡に戻る。今季こそ「V証明」の143試合になることを願っている。【佐竹英治】