誰かに似ているなあと、思っていた。

2月は日本ハムのキャンプ取材で、連続3週間以上、沖縄・名護のホテル暮らし。序盤は、慣れない枕に、なかなか熟睡できない日が続いた。

ある日、ニコニコした欧米系の男性が夢に登場。え、誰? びっしょり寝汗をかいて、目が覚めた。日本ハムのユニホームを着ている。

翌日、キャンプ取材で気付いた。金髪に青い目、高い鼻…新外国人のアンドリュー・スティーブンソン選手だ。

数日後、実戦初安打を放ったスティーブンソンを取材する機会があった。試合中はメガネをつけているが、取材を受ける際はメガネを外す。やや垂れ気味の青い目が際立つ。欧米だ。

キャップを取ると、少しうねるような金髪の短髪だ。ニコニコうれしそうにしゃべるスティーブンソンを見ていると、おそらく連日のキャンプ取材で、記者も疲れていたのかもしれない。両肩に星のマークが浮かんできた。

そうなると、やはり青いパンツを履かせたい。人気漫画「キン肉マン」に出てくる人気超人「テリーマン」の完成だ。

おそらくスティーブンソンはテリーマンを知らないだろう。この思いを伝えようと、練習上がりの本人にあてた。テリーマンの画像を見せ「あなたに似ているよね」。じ~っと画像を見つめ「へへへッ。ザッツ ファニー! 確かに似てるね」。意外と、喜んでくれた。そして「僕より体がでかいかな」。そう、細身のテリー、略して“細テリー”と、ひそかに名付けた。

直後に逆輸入選手、加藤豪将“選手兼通訳”が通りかかった。青パンツに半裸でファイティングポーズを取るテリーマンの画像を見て「誰ですか?」と尋ねてきたので、ここで賛同者を増やそうと、躍起になった。

「スティーブンソンに似てない?」と聞いたが、欲張ったのが、いけなかった。「それ、金髪で白人なら誰でもいいんじゃないですか(笑い)」。ごもっともだ。たじろいだ。毎日ほぼ10時間超、メイングラウンド、ブルペン、サブグラウンドを回りながらの現場取材で相当、疲れていたのだろう。

そんな記者を気遣ってくれたのか、スティーブンソンは「彼(テリーマン)は正義の味方なのかい。僕も彼みたいにチームのために活躍したいね。ハッハッハッ」。くだらない質問にも、さわやかな笑顔で応えてくれるジェントルマン。その額には一瞬、テリーマンのシンボル「米」の文字が浮き上がった、ように見えた。

ただ、そうやって少年時代、夢中になったキャラクターに重ねていくと、より思い入れが強くなるのかもと、他の選手も誰かに似ていないか、試しに妄想してみた。

スティーブンソンがテリーマンなら、ザバラ投手は、いかついあごひげがインパクト大だ。卓越したテクニックを誇る主人公キン肉マンの師匠プリンス・カメハメに見えてきた。「夢の超人タッグ編」で、キン肉マングレートに扮(ふん)してキン肉マンを助け、カメハメが倒れた後は、テリーマンがすり替わり、キン肉マンと力を合わせ、優勝する。勝手に当てはめたテリーとカメハメの“グレート”コンビ。スグル(福田)もいる。本家のように、豪快な「マッスルドッキング」でパ・リーグの猛者どもをこらしめる姿を、ひそかに待望している。【日本ハム担当・永野高輔】

日本ハム・ザバラ(2024年2月4日撮影)
日本ハム・ザバラ(2024年2月4日撮影)