<オープン戦:ソフトバンク2-0ヤクルト>◇6日◇ペイペイドーム

ソフトバンク小久保監督は豪快に笑い飛ばした。帰路に就くペイペイドームの通路。ヤクルトに連勝し、対外試合はこれで無傷の8連勝。気分は悪くない。「ケガ人が出るのが心配だった」とひと声掛けたら「あ、そうですね。3月6日ね。もうあれから21年たちましたよ」と言って、また笑った。

やはり、しっかり覚えている。03年3月6日。福岡ドーム(現ペイペイドーム)での西武とのオープン戦。ダイエーの主砲だった小久保は本塁クロスプレーで右ひざに重傷を負った。一塁走者の小久保は松中の左中間への打球で長駆ホームを狙い滑り込んだが、椎木捕手と交錯。ホームベース上でもん絶した。この年、チームは主砲不在ながら3年ぶりのリーグVを果たし、阪神との日本シリーズも制覇。だが、小久保にとってはシーズンを棒に振る大ケガで、オフには球団の迷走甚だしく不可解な巨人への無償トレードまでに発展してしまった。21年の時を経てホークスのタクトを振ることになった小久保監督には人生の転機ともなった苦節の1年。だが、今はチームを率いる将として選手のケガには細心の注意を払わなければならない立場にもなった。

右足をいためた小久保裕紀は担架でベンチ裏に運ばれる。左は王貞治監督(2003年3月6日撮影)
右足をいためた小久保裕紀は担架でベンチ裏に運ばれる。左は王貞治監督(2003年3月6日撮影)
ホームに滑りこんだ小久保裕紀は右足を痛め苦もんの表情を浮かべる(2003年3月6日撮影)
ホームに滑りこんだ小久保裕紀は右足を痛め苦もんの表情を浮かべる(2003年3月6日撮影)

左肘の故障のため昨シーズン中に離脱したモイネロがこの日、実戦初登板した。8回1イニングを3人で仕留め、自慢のカーブで三振も奪った。今季は「8回の男」から先発転向が決まり、キャンプからじっくりと仕上げてきた。「いい投球ができた。まっすぐもそうだが、全部の球種がストライクゾーンに行っていたと思う」とモイネロは納得の表情だった。ノーワインドの投球フォームから最速153キロもマーク。18球で3人を料理した。中3日で10日のロッテ戦(ZOZOマリン)に登板予定。「今日は25球の予定だったけど、そこまで行かなかったからよかった。開幕までに(球数は)100球くらい投げられるように持っていくプラン」と、小久保監督も先発陣に加わるモイネロの調整に気遣いを見せていた。

宮崎キャンプから大きなケガ人もなく、チームは競争激化の中、3・29開幕へ歩みを進めている。このまま順風であってもらいたい。【佐竹英治】