プロ唯一の高専卒の右腕が、球史に残る記録を作った。13日の広島-阪神戦(マツダスタジアム)。最終回のマウンドに上がった阪神石井大智投手(28)は、気迫のこもった投球で1安打無失点。西武平良海馬投手(25)に並ぶプロ野球記録の39試合連続無失点を達成した。「最後終わって監督と写真を撮らせていただいている時に、すごく実感が湧きました。記録的にはすごく、素直に喜びたいです」。熱戦が続くペナントレースで、少しだけ胸をなで下ろした。

秋田出身の右腕は、秋田高専を経て四国IL高知へ。高知で過ごした3年間が、プロへの礎となった。当時監督を務めていた元南海、ダイエーの吉田豊彦氏(58)は入団当初の印象を「目立った存在ではなかった。ボールもそんなに速いわけではなく、140キロくらい。シンカー、カーブは持っていた」と話していた。

石井の身長は175センチ。「180、190センチとかないし、どうしても自分は小さい」。そう気にしていたこともあったという。自身も174センチの体で活躍した吉田氏。「角度を付けようとしていたと思うし、技術のポイントだったと思う」。体を存分に使って、上から投げることを大切にした。

持ち前の探究心と独自のトレーニングで、入団2年目には球速が10キロアップ。当時、球威にこだわっていた石井に、吉田氏は言ったことがある。「150キロ投げるピッチャーは山ほどいる。プロに入って、そこから苦労する」。大先輩の助言から、意識はコントロールへと移った。緊迫した場面でもぶれない制球力が、プロで活躍する今にもつながる武器となった。

吉田氏は石井について「大智はいいこと悪いことが分かっていて、吸収したいという思いがあり、手のかからない選手だった」と評していたことがある。素直で貪欲な姿勢が、新たな道を作った。【阪神担当 磯綾乃】