阪神の優勝マジックが順調に減っていた8月の中ごろ、球団関係者に「あのころの落合中日に似てきたなあ、と思ったことがありますよ」と言われた。
一瞬、堅実な戦いぶりのことかと想像したが、違った。理由は「『1軍の選手』が増えたと感じる。中継ぎ投手なんて、戦力になりそうな投手が2軍にもたくさんいる。選手層がどんどん広がっているように思える」だった。こちらはあまり意識していなかったが、言われてみれば納得できる部分もある。
落合博満監督が率いた04~11年の中日は強かった。巨人、阪神も戦力充実だった戦国時代に8年間でリーグ優勝4度。2位からの日本シリーズ制覇もあった。レギュラー陣が盤石で、投手陣も軸がしっかりしていた。その一方で、脇を固めるメンバー、とくにブルペン陣は積極的に入れ替えた。出てくる投手はおしなべてレベルが高かった。思い返すと「1軍選手」が多い印象は確かにあった。
今年の阪神も似ていると言えば似ている。昨年の1・5倍以上のペースで選手の入れ替え(出場選手登録・抹消)が行われている。それでいてチーム成績を維持してきた。投手・野手とも1軍経験者が増えた。層が厚くなり、底上げも進んだのは間違いない。
あとは、広がった「裾野」から、新たにチームの屋台骨を担う選手が出てくるかどうかだろう。世代交代は本当に難しい。ドラフト戦略、くじ運も関わってくる。記者は15年から3年間、ドラ番を担当したがすべてBクラス。黄金時代のコアなメンバーが次々と去り、まさに過渡期だった。有望な若手が多かったので、そのうち強い中日が戻ってくると思っていた。だがその後の成績を見れば、継続したチーム作りがいかに難しいかがよく分かる。
阪神もなかなか継続的に優勝はできていない。03年、05年のあとは選手を入れ替えながら優勝を狙える力を保っていたが、ライバルも強力な時代だった。次の優勝までに18年も要した。今は戦力が充実しているが、主力メンバーが入れ替わっていく未来図はまだまだ見えない。今後、どんな若虎が飛び出してくるのか、注目していきたい。【遊軍=柏原誠】




