ソフトバンクです。毎年のことなんですが、強いチームをどう評論するか。結果論で強い理由を後付けしても、何か味気ないですよね。

ましてや、首位を走っているチームです。わざわざあら探しをしても、楽しい評論にはなりませんね。せめて、同じ弱点を探るにしても、混パに光明を見いだせるようなテーマを見つけたい、その思いで黙考しました。

6日、ロッテに3連敗を喫しベンチで深々と頭を下げるソフトバンク工藤監督
6日、ロッテに3連敗を喫しベンチで深々と頭を下げるソフトバンク工藤監督

毎試合、見続けてきた記憶を頼りに、何かないかなあ、と。そして、1つのデータが目に飛び込んできました。ソフトバンクはロッテに分が悪いんです。それは今季の評論でも触れています。だから、週末のロッテ戦を見てピ-ン! と来ました。

やたらロッテに四球を与えてるなあ、と。ソフトバンクのチーム防御率は3・26です。2位日本ハム(3・98)とは0・72の大差をつけたリーグ断トツ。投手力を誇りながら、ロッテ戦になると、かなりの四球を与えてます。

これはイメージではなくて、データにも表れています。ロッテ戦は71四球を与え、与四球率(9イニングで与える四球数)は5・88。ちなみに他カードは楽天戦が55個で同4・34、西武戦が44個で同4・17、オリックス戦が63個で同3・52、日本ハム戦が47個で同3・14です。

圧倒的にロッテ戦での四球の多さが目につきます。実際、先週末のロッテ戦は死球も合わせると、3試合で22四死球です。1試合平均7個以上、これは尋常じゃない多さです。必要以上にロッテ打線を警戒している証拠です。苦手意識があるんでしょう。ロッテのチーム打率は2割4分3厘。決して高くないのに、打たれる恐怖が先走っての四球連発。自滅ですね。

与四球率の偏向が何を意味するのか。ソフトバンクはまだロッテ戦を12試合残しています。つまり、2位までがCSに進出するパ・リーグでは、まだ混戦への道が見えているということです。楽天、もしかすれば日本ハム、西武まで可能性が出てくるかもしれません。もちろん、ロッテ以外の4球団が自力でソフトバンクに挑むのは言うまでもありません。シーズン終盤に向けてチャンスは残されています。

例年のことですが、ソフトバンクの戦力を見ると、「選手層の厚さ」が効いてるなと感じさせられます。先発陣で、開幕からローテーションを守ってきた投手はいません。それでも、抜けた穴は必ず誰かが埋める。このアドバンテージがソフトバンクの強みです。

打線に目を移すと中軸では柳田、中村晃、グラシアルが打線を引っ張っています。逆に言うと、まだデスパイネ、バレンティン、松田宣がいます。誰かが打ち出すと、一気に独走の気配も漂ってきます。やはり総合的な強さは抜きんでています。

ただ「選手層の厚さ」という6文字だけで、シーズンの行方、すべての説明がついてしまっては「エキサイティングリーグ・パ」の名が泣きます。白熱のCS争いが少しでも遅くまで続くよう、強いソフトバンクのウイークポイントをサラッと皆さんに知ってもらい、各チームのファンの方には最後まで希望を持ってほしい、そういう思いで解説してみました!(つづく)

里崎智也氏
里崎智也氏

◆YouTuber里崎氏の「里崎チャンネル」(登録数約35万人=6日現在)は「パ・リーグって強すぎない!!?」など、独自の視点から幅広くプロ野球を解説中。