名伯楽の小谷正勝氏(75)が、教え子のDeNA三浦大輔新監督(47)と対談した。第3回は三浦監督が昨季務めた2軍監督での経験を聞いた。(敬称略)【取材・構成=久保賢吾】

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小谷 2軍は育成の場と言われるけど「ファームでも勝負には勝っておけよ」と言った。1年間の経験はどうだった?

三浦 例えば3連戦なら1回は「勝ちを意識していこう」と話をして、選手がどういう動きをするか。残りの2試合は育成も考えながら。両方、見られたのはすごくいい経験でした。

小谷 やっぱり「勝ちにいくんだ」という試合を6割以上はやらんと度胸がつかない。

三浦 その試合ごとにテーマを出しながら、守り勝つ、積極的に攻撃して勝つとか、我慢強く粘り勝つとか、そういうことも意識しながらでした。

小谷 バントの日とか、エンドランの日とかスチールの日とか、テーマを設定した?

三浦 今日はサインを積極的に使おうというのはありましたね。

小谷 それをやれば選手は分かりやすくて、集中していけるわな。

三浦 しっかり送らせるところは送らせますし、1軍で送りバントのシチュエーションだったら、バントのサインが出るなっていう選手には、させました。

小谷 今日のゲームを和食にするか、中華にするか洋食にするか。要するにゲームの読みだよな。監督が今日は何点ゲームって読んだら、初回からバントする場合もあるし、打っていく時もある。だから、今日の献立をどうするかということは大切。2軍は面白いよな。成長度が見えるし、やりがいがある。

三浦 ファームは失敗してもトライさせること、勇気を持ってやることをメインにやってるんですけど、1軍に行くと失敗よりまず成功、勝つこと、結果出すことですからね。

小谷 まずは選手を納得させないと。思い付きでやって、ダメになったら他の選手を…かわいそうだよ選手たちが。熟慮して「これでいくぞ」って決めたら最低3カ月は続けていかないと。

三浦 しっかりとコーチとも共通認識を持って、こういうことを改善するために、今はこういう練習をしてると。

小谷 期待する若手は?

三浦 やっぱり、若い投手には出てきてもらわないといけないです。阪口、京山、中川ってところがファームで結果を出したんですけど、今年が勝負だと思います。

小谷 三浦新監督にはファンもメディアも期待している。注目されるから、大変だわな。

三浦 シーズン始まるまでだと思っています。始まれば結果。やっぱり、勝たないといけないです。

小谷 焦らないことだな。勝ちに走りすぎると、本来見えてるものが見えなくなることもある。

三浦 いかに、トータルで考えられるか。143試合で、どうやって上にいくかだと思います。

小谷 楽しみだな。貴重な時間をありがとう。

(次回は1月下旬掲載予定です)