第93回選抜高校野球大会(3月19日開幕、甲子園)の組み合わせ抽選会が23日、オンラインで行われる。2年ぶりのセンバツに臨む球児や学校を「どっちも勝て~前哨戦 東西対決」として全3回で紹介する。第1回は東西スラッガー対決。高崎健康福祉大高崎(群馬)・小沢周平内野手(2年)は高校通算35本塁打で、智弁学園(奈良)・前川右京外野手(2年)は同30本塁打。今大会の注目は、好投手だけじゃない。

ロングティーに取り組む高崎健康福祉大高崎・小沢主将(撮影・保坂恭子)
ロングティーに取り組む高崎健康福祉大高崎・小沢主将(撮影・保坂恭子)

関東王者の高崎健康福祉大高崎が、「強打破壊」を全国の舞台でとどろかせる。チームは昨秋からの公式戦10試合で計15本塁打。練習試合を含めた部員の総本塁打は230本を超える。その打線の中心が、高校通算35本塁打の小沢だ。このオフは間食におにぎりを食べるなど、食事トレで体重は4キロ増の75キロに。増量に成功し「大きい方が打球も飛ぶようになる」と手応えをつかんだ。

打撃練習にも自信を持って「絶対にたくさん振ってきた」と胸を張る。ティー打撃を行う室内練習場には、乾いた木の音が響く。赤堀佳敬コーチ(27)の指導の下、グラウンドでのフリー打撃では、選手たちは重さ1キロの木製バットで外野深くまで飛ばす。1キロ以上に慣れているため、久しぶりに900グラムの金属バットを手にした小沢は「軽くて振りづらいです」と笑っていた。

昨春の緊急事態宣言が明けると、グラウンドは3年生が使用することが多く、2年生はウエートトレや室内での打撃練習が中心となった。青柳博文監督(48)は「その時期の練習も、効果があったのかもしれない」と長打力の土台を分析する。

ようやく迎える全国の舞台。全国の好投手とも対戦できる。小沢は「やっとその舞台に立てることがうれしい。全国制覇をするための勝負の年だと思っています」と力を込めた。【保坂恭子】

20年11月、練習試合の東山戦で右越えに適時三塁打を放つ智弁学園・前川
20年11月、練習試合の東山戦で右越えに適時三塁打を放つ智弁学園・前川

鋭く軽々と大飛球を飛ばす。今秋ドラフト候補の智弁学園・前川は、高校通算30発を誇る左の大砲。目標に掲げる16年春以来の日本一に向け、楽しみなのが、全国のエース級をどう“コンプリート”するかだ。

ドラフト候補の好投手たちを仕留めてきた。昨秋は県大会決勝で193センチ右腕の天理・達孝太からソロ。優勝した近畿大会決勝の大阪桐蔭戦では、150キロ左腕の松浦慶斗から追加点につながる中前打を放ち、最速154キロ右腕・関戸康介には100メートルの右翼を悠々と越える場外弾をお見舞いした。

智弁学園・前川(2021年1月29日撮影)
智弁学園・前川(2021年1月29日撮影)

ただ、借りもある。同大会準決勝では、同じく今秋の目玉、152キロ右腕の市和歌山・小園健太の前に2打数無安打。得意とするカットボールに空振り三振と左飛に抑えられた。センバツでは「小園投手を打ちたい。いい投手はワクワクする」とリベンジを期す。

小坂将商監督(43)は「岡本(和)以上」と同校OBの巨人主砲を持ち出し、飛ばす力を評価するが、前川は努力でその力を開花させた。今でこそ176センチ、88キロのがっしりした体だが、入学前は細身。中3時から毎朝6時すぎからの自主トレで鍛えてきた。1年春には、打球は外野の高さ30メートルの防球ネット上部付近まで到達。高校2度目の冬を越えて磨きをかけた一振りで、聖地に集う猛者を撃つ。【望月千草】