帯広農が雨天順延が続く間に「逆転」への準備を進める。12日のノースアジア大明桜戦は、4回裏終了時点で降雨ノーゲームとなった。プロ注目の風間球打(3年)の前に、北北海道大会1試合平均15安打の強力打線が鳴りをひそめ無安打。0-5と差をつけられたが、試合は恵みの雨によりリセットされた。前田康晴監督(45)は「5点差だったので1回、切り替えて、もう1試合やらせていただける。そこはありがたい。仕切り直して頑張りたい」と出直しを誓った。

前田監督のアイデアで、宿舎には、柔軟性を上げ初動負荷トレーニングにも使えるマシン3台と、動体視力を磨くビジョントレーニングのマシンを持ち込んでいる。初戦の相手は最速157キロの剛腕。瞬時に体が反応するための体のしなやかさと、ボールをしっかりとらえる「目力」強化を直前まで上げていくためだ。雨による順延が続くも、選手は宿舎で空いた時間に使い日々能力を向上させている。12日の最初の対戦では選手の動きが硬かったこともあり、13日には宿舎の会議室でヨガもやった。清水椋太二塁手(2年)は「体のうごきが良くなった」。筋肉に刺激を与え目を鍛え心を落ち着かせた。

前田監督は「何でもとりあえずやってみようというのはあります」と言う。19年夏にはバスとフェリーを乗り継ぎ18年夏準優勝の金足農へ練習試合に向かった。同じ公立の農業高校がどんな戦いをするのかを肌で感じるために。旋風の原動力となったバント攻撃を見て「こういう野球を見習わないと」と感じたという。

昨夏の甲子園交流試合(高崎健康福祉大高崎戦)の3回1死一塁。1回に盗塁死した一塁走者の佐伯柊(当時2年、現主将)に、前田監督は再び盗塁のサインを出した。「捕手の雰囲気を見て、1度刺したから、もう走らないと考えているのでは」と、あえて走らせた。捕手の悪送球を誘い1死三塁。さらに4番打者のスクイズと意表を突き、加点した。最終的には4-1で勝利。「選手には、初めから決めてかからないようにと伝えている。常に状況を見て、何をすべきか考えて判断できるように」。相手のしぐさや表情から、心理を予測して次の一手を考える緻密な野球を磨き上げ、昨年の21世紀枠から今夏は北北海道王者となって、甲子園に戻ってきた。

観察眼を大事にする前田イズムは浸透しており、選手たちは12日の風間との対戦から攻略の糸口をつかんでいる。先頭打者で強烈な二直を放った西川健生三塁手(3年)は「ヒットにはならなかったが食らい付いていけた。もう少しボールの上をたたければ」。佐伯は「動画で見たときは直球が多かったが、変化球が多く制球も良い。そこをどう対応するか」。体感した情報を結集し、全員束になり大会屈指の好投手に、再び立ち向かう。【永野高輔】