春のセンバツに続き、夏の甲子園も高校生投手をじっくり見させてもらった。春は力強い直球を投げる中京大中京の畔柳君、完成度が高かった市和歌山の小園君、将来性を感じる天理の達君ら、本格派の右腕が目に留まった。事前に注目投手の情報は聞いたが、私の目で現状の評価と課題など、感じたことを記していく。

ノースアジア大明桜・風間球打(2021年8月12日撮影)
ノースアジア大明桜・風間球打(2021年8月12日撮影)

開幕前、今大会NO・1の呼び声が高かったのはノースアジア大明桜の風間君だった。試合で投げる姿は初めて見たが、真っすぐは150キロを超え、ボールの力から見れば、今秋のドラフトで1位候補に挙がるだろう。

第一印象は体が硬く、特に下半身の硬さを感じた。ただ、硬いというのは体が強く、丈夫とも言える。現状では肩の可動域も狭く、腕力でぶん回すような腕の振りだが、将来、柔軟性が出てくれば、変化球でストライクもとれるだけに期待が持てる。

将来的に伸びる可能性を感じさせたのは、日大山形の滝口君と愛工大名電の寺嶋君だった。ともに右の本格派。滝口君は最速150キロの速球を投げ、リリースの瞬間のヘッドの走りが良かった。ピンチでも動じず、マウンド度胸の良さも感じさせた。寺嶋君も145キロ前後の真っすぐを投げ、体の使い方が良かった。

センバツからの比較で見れば、北海の木村君と神戸国際大付の阪上君の変化に驚いた。木村君はテークバックで、トップに持っていくまでの間合いができ、リズムも出てきた。140キロを超える直球、カーブも投げられ、伸びしろもありそう。春は右肘の状態が万全ではなかった阪上君は、テークバックがスムーズになって、ぶん回しだった腕の振りも改善された。

広島新庄の花田君、専大松戸の深沢君はセンバツの時と同様、出来上がっている印象を受けた。花田君はコントロールがいいし、カットボールは目を見張る。フォーム的には現状、手をつける部分は見受けられず、体がもっと出来上がってくれば楽しみ。横手投げの深沢君はコントロールが良く、ボールの扱いは高校生離れしている。

評価が分かれそうなのは、大阪桐蔭の松浦君。体格にも恵まれ、パワーを感じさせる一方で、力任せの部分が目立つ時がある。そこに狙って投げようとする意識を持てば、印象も変わってくるだろう。東海大菅生戦では試合途中から足を上げるのがややゆっくりになって、その意識が見えた。大器晩成型だろうか。

智弁学園の小畠君、近江の岩佐君の両右腕は強い真っすぐを投げられ、二松学舎大付の秋山君は140キロ前後の直球を投げ、投手の第一条件であるどんどんストライクを投げ込む左腕。日本航空のヴァデルナ君は188センチの長身左腕で、スリークオーターから多彩な変化球を操る投球が印象に残った。(つづく)

小谷正勝氏(2019年1月撮影)
小谷正勝氏(2019年1月撮影)

◆小谷正勝(こたに・ただかつ)1945年(昭20)兵庫・明石市生まれ。国学院大から67年ドラフト1位で大洋入団。通算10年で24勝27敗。79年からコーチ業に専念。11年まで在京セ・リーグ3球団、13年からロッテで指導。17年から19年まで再び巨人でコーチ。