<センバツ高校野球:専大松戸6-4高知>◇27日◇3回戦

強豪私学をいかにして倒すか-。竜ケ崎一(茨城)、藤代(茨城)で28年間、県立校を率い、両校で甲子園に計4度出場した専大松戸・持丸修一監督(74)にとって、1点をいかに取るかが勝利の鍵を握った。

1点リードも4回から7回まで「0」が並び、試合が動かなかった。8回に同点に追い付かれると、相手に流れを渡さないために、持丸監督はその裏、先頭の宮尾にセーフティーバントのサイン。「内野の守備位置を見て、チャンスを作れると思った」。宮尾の打球は投手の横を抜けセーフ。これを足がかりに2点勝ち越しに成功した。

高知対専大松戸 8回裏専大松戸1死一、二塁、広川が左前適時打を放ち、ベンチで笑顔を見せる持丸監督(撮影・河田真司)
高知対専大松戸 8回裏専大松戸1死一、二塁、広川が左前適時打を放ち、ベンチで笑顔を見せる持丸監督(撮影・河田真司)

持丸監督の心に残るゲームは、藤代監督で出場した03年センバツだ。「私学のようにいい選手はいない。特に野手はね。だから1人投手を育て、守備力を徹底的に強化する。少ないチャンスを生かし、1~2点で勝つ野球をしていました」。この年のエースが当時2年生のロッテ美馬だ。

この試合では、2回に1点先制し6回に追い付かれるも、すかさず7回に勝ち越し。その時、持丸監督はベンチで「もう点数をとる必要はないからつまらないことはするんじゃない」と、選手たちに話したという。「試合を動かしたら必ずピンチがくる。動かさずに、守りきればいい」。

試合を動かさない野球。「余計なことはやらない。打てなくてもいい。とにかく守れ。それしか勝つすべがないと思っていた」。地力に勝る私学なら、再び逆転の可能性もあるだろうが、県立校となればそうもいかない。01年センバツ、初戦で四日市工に勝利したときも1-0と守り勝った。

専大松戸・持丸修一監督の甲子園成績
専大松戸・持丸修一監督の甲子園成績

「俺の指導歴で、これだけの打線がそろったのは初めて」というチームを率い、初の8強入りを果たした。過去10度の甲子園で越えられなかった壁。「俺は(勝ち運を)持ってないと思って反省したこともありました」と振り返った。「今後、新しい世界が見られるのかな。こういう世界が74歳で見られるとは思わなかった」と、ガハハと笑った。【保坂淑子】