高校野球の地方大会が7月末で終わった。日刊スポーツの新人記者が「1年目の夏」を体感。取材に汗を流した、それぞれの夏を振り返る。
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高校野球の最後は涙だけではなかった。兵庫大会で全国的には無名の高校が、優勝候補をあと1歩まで追い詰めた場面に出くわした。六甲アイランドは秋春県準Vでプロ注目の槙野遥斗投手(3年)を擁する須磨翔風と延長11回タイブレークという激戦を演じた。
背番号6の野田悠(ゆう)内野手(2年)が公式戦初登板初先発で9回まで無失点。10、11回はタイブレーク制度で無死一、二塁から始まり3失点。11回にサヨナラ犠飛を浴びたが、計135球の力投で注目右腕との壮絶な投げ合いを披露した。
後輩を鼓舞し続けた主将の藤野晴(はる)投手(3年)は「野田で良かった。野田が投げていなかったらここまで競ったゲームができなかった」と感謝した。今春は県大会の地区予選初戦で敗退。チームがバラバラになりかけた時期もあったという。最後はやり切ったと胸を張れる敗戦。「(申し訳ないと)思わないで、しっかり自分のことに集中して、次の1年もありますし、糧にしてほしい。こういう試合ができて本当に良かった」と爽やかな笑顔を見せた。
私は中学、高校、大学でほとんどスポーツをしていなかった。部活などに打ち込んだ経験はあれど、大会などへの参加はあまりない。そんな私にとって、負けて悔しい気持ちももちろんあるだろうが、晴れやかな表情で後輩をねぎらいながら、明るい締め方ができることは驚きだった。
勝った感動で涙する選手もいた。負けて「悔しい」と言う選手の中でも悔しがり方は人それぞれだ。試合後のさまざまな表情や感情は選手の人数分存在する。感情に「正解がない」のではなく「すべて正解」。そういった大きな感情も私はほとんど抱いたことがなかったのだろう。一生懸命、何年も打ち込んできたからこそ生まれるもので、その努力の「証し」といえる。
私にとっては悔いも多い期間だった。スポーツでやり直しは不可能。記者も取材、撮影、記事執筆などは原則やり直せない。「新人が書いた記事だから」は読者に関係ない。地方大会取材を踏み台にするわけではないが、球児とともに地方大会での反省や後悔は聖地でぶつけ、大きな感情を抱けるほど一生懸命に取材していろいろな意味で「あつい」夏の甲子園期間を過ごしたい。【塚本光】(この項おわり)






