丸佳浩(広島)が圧倒的な数の四球を選んでいる。ケガの影響で18試合の欠場があったが、前半戦を終えて両リーグ最多の62四球。後半戦もこのペースだと、シーズン終了時には約134個となる計算だ。シーズン最多四球は74年王貞治(巨人)の158個だが、シーズン130四球以上は王が1人で4度記録しているだけ。丸が王以来の記録をつくることになりそうだ。

 王レベルで四球を選んでいる丸だが、敬遠の数は王と大きく異なっている。王が130個以上の四球を選んだシーズンの敬遠数は、65年29(四球138)、66年41(142)、67年30(130)74年45(158)。ところが丸はまだ4個で、シーズン10個にも届かないペース。敬遠の数は大きく違うのに王に匹敵する数の四球を選んでいるのは、“異常”といってもいいだろう。「敬遠を除いた四球」はこのままだと125個になる計算。これまでのシーズン最多は01年松井秀喜(巨人)の114個で、松井超えも見えている。

 14、15年にもリーグ最多四球を選ぶなど、もともと選球眼に定評があった丸だが、今季はあるデータも記録を後押ししている。前半戦のセ・リーグ投手陣の与四球率(9イニングあたりの四球数)は3・51で、これはリーグで過去ワーストだった95年の3・56に次いで悪い数字。リーグ全体で四球が多い傾向で、丸の四球ペースがこれから落ちることも考えにくいだろう。

 本塁打を何本も打つ選手ではないが、あの王、松井といったホームランバッターに「四球」では対抗している丸。現在打率と本塁打でチーム2冠と好調の打撃はもちろん、後半戦もどれだけ四球を選ぶかにも注目したい。