西武が首位に1ゲーム差と迫ってきた。好調の要因は投手陣だろう。ここまで15度の完封勝利があるなど、防御率はリーグ1位の2.45。昨季まで4年連続で防御率リーグ最下位から一転しての好成績だ。

【イラスト】今季パ・リーグ防御率と奪三振と今季の西武の主な投手の防御率と奪三振率
【イラスト】今季パ・リーグ防御率と奪三振と今季の西武の主な投手の防御率と奪三振率

そんな投手陣だが、意外な数字が並ぶ。奪三振率が6.59でリーグ最下位。個人別に見ても、先発はほとんどリーグ平均(7.29)以下。救援も平良の12.36は非常に高いが、他は平均ほどだ。投手にとって最も簡単なアウトの取り方は三振を取ること。奪三振率の高さは好投手の条件の1つだが、今季の西武には当てはまっていない。

【イラスト】今季パ・リーグ失策数とDER
【イラスト】今季パ・リーグ失策数とDER

奪三振率が低いのに好成績となっているのは、守備が要因だ。といっても西武は失策数がリーグ最多の51個。それで守備のおかげといえるのか? ここでは、単純な失策数ではなく、DERを用いたい。これは「本塁打を除き、フィールド内に飛んだ打球をどれだけアウトにしたか」を示す指標で、チーム全体の守備力を表す。西武は.719でリーグ3位だったが、昨季の.698(同5位)から改善。DERが.710以上は球団では95年(.716)以来と、この20年で最も守備が良いといえる。失策が多いからといって、一口に守備が悪いわけではない。打たせて取る投手が多い今季の西武では、特に守りが重要。バックの支えがあってこその好成績だった。

【イラスト】奪三振率がリーグ最下位も、防御率がリーグトップのチーム
【イラスト】奪三振率がリーグ最下位も、防御率がリーグトップのチーム

ちなみに、西武同様に奪三振率がリーグ最下位で、防御率がリーグ1位のチームを調べると、過去8チーム。その内7チームがDERでリーグ1位と、やはり守備の良いチームに見られる傾向だった。中でも今季の西武と似ているのが11年の中日だろうか。中日も失策数がリーグ最多ながら、DERは1位。守りの良さも武器に、最大10ゲーム差をひっくり返して優勝した。西武の辻監督は同年、中日の1軍コーチとしてこの優勝を経験している。守りの面では似たようなチームを率いる今季、11年前のように最後は優勝という展開が描けているかもしれない。【多田周平】