「スリム左腕の不思議な共通点」とでも言えばいいのでしょうか。

今季限りで阪神を戦力外になった能見篤史投手。同じ関西に本拠地を置くオリックスに移籍したことが正式に発表されました。

阪神でスッキリと引退する道もあったかもしれませんが、働き場次第ではまだやれる気もしますし、まずはよかったと思います。

この移籍で思い出すのはかつてオリックスのエースとして活躍した星野伸之氏(野球評論家)です。

現役時代「星の王子さま」と異名を取った星野氏はスリムな体形から繰り出す変化球で異色のエースとして君臨。95、96年のリーグ連覇、96年の日本一に貢献したものです。

その星野氏がオリックスでコーチをしていたとき、能見について少し雑談したことがありました。なんとなく2人のフォームが似ていると思ったからです。

「結構、いろんな人にそう言われるけど、どうでしょうね。ボールを持つ左手を(打者から見て)体に隠すところは似ているかもしれませんね。能見くんの方が少し肘が出ていてダイナミックかなと思いますけど」。星野氏の感想はそんな感じでした。

現役時代の公式発表では星野氏が183センチ、74キロ。能見のそれは180センチ、74キロです。同じようなスラッとした2人。元々「食が細い」と言った星野氏。「放っておくとやせてしまうので頑張って食べている」という能見と微妙な違いはありますが大きな共通点でしょう。

そこに加え、能見がオリックスで投げることになったことで新たな共通点も生まれました。星野氏もオリックスからFAで阪神に移籍し、00年から3シーズン、猛虎戦士となっているからです。

似たフォームを持つスリム左腕の2人が、順番は違うけれど、関西2球団で投げる運命になりました。なんだか不思議で面白いな、と感じています。【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「高原のねごと」)