阪神タイガースのオーナー交代が発表されました。阪急阪神ホールディングス(HD)社長・杉山健博氏が阪急電鉄出身者として初めてタイガースの最高責任者になります。

村上ファンドの買収攻勢に苦悩する阪神電鉄を救う形の「ホワイトナイト」として06年に阪急が登場したときは驚きをもたらしたもの。同時に一種のアレルギーも持つ虎党もいました。阪急電鉄は88年に名門球団・阪急ブレーブスをオリックスに譲渡しています。「球団を手放した阪急が阪神に関わるのか」との不安が漂ったのも事実でしょう。

「プロ野球と宝塚歌劇とのどちらを取るか。電鉄事業以外で大金を投じながら、当時は赤字だった2つの事業について、そういう決断をなされたとされています」。宝塚歌劇に詳しい演劇ライターで「男たちの宝塚-夢を追った研究生の半世紀」などの著書がある辻則彦氏は当時の状況をそう話します。

それもあって合併当初「阪急は球団経営にかかわらない」というスタンスでしたが16年を経て、阪急出身者が経営にかかわることになりました。意見はあるでしょうが個人的にはさらに魅力ある球団になり、虎党にアピールできるなら、オーナーがどちらの出身でもかまわない気はします。

と言いつつオーナー交代は一般のファンにはそれほど興味のある話ではないと想像します。そこで独断と偏見で「こうすれば盛り上がるのでは-」と考えることがあります。

松岡修造氏のゼネラル・マネジャー(GM)就任です。テレビ朝日系「報道ステーション」などでおなじみの同氏ですが95年のウィンブルドン大会でベスト8に入るなど世界を相手に戦ったかつての名テニスプレーヤー。現在もテニス界では重要な地位を占めています。テレビで大声を出しているタレント、コメンテーターと思っている人もいるかもしれませんが日本のプロスポーツの歴史で見ても相当な人物です。

そして阪神阪急グループ内の東宝にとって同氏が特別な存在であるのも有名。同氏の曽祖父は阪急電鉄を創業した小林一三氏です。さらに東宝の社長は松岡家の人物が務めており、やはりテニス選手だった父親の功氏は元社長、そして最近、修造氏の実兄・宏泰氏が社長に就任したばかり。

岡田彰布新監督の就任で盛り上がる阪神は「アレ」を達成することが最高の盛り上がりにつながるのは当然です。それでも将来、著名でスポーツにも理解の深い修造氏がGM、フロントとしてチームにカツを入れれば…と考えると楽しい。もちろん野球の勉強は必要でしょうが幅広いファンに新たな興味がわくのではないでしょうか-。