16日の3戦目までもつれたパ・リーグよりひと足早く、セ・リーグのCSファーストステージは広島がDeNAに2連勝し、勝ち抜けを決めました。現地で観戦、取材していましたが広島の盛り上がりが相当なもの。カープ・ファンは誇らしげに「下克上」のタオルを掲げていたものです。

ファーストステージ突破を決めた広島新井貴浩監督も顔を紅潮させていました。15日の試合後、末包の代打弾について広島担当記者たちから聞かれると突然「わはは!」と高笑い。喜びをストレートに表すスタイルに変わりはありません。

そして今回、なかなか興味深いことがあります。ごく“ローカルな話題”で恐縮ですが、それは「阪神OBのセ・リーグ監督CS対決」はこれが初めてということです。

18年ぶりに優勝を決めた阪神岡田彰布監督は言うまでもありませんが、新井監督も阪神で長年、プレーしています。広島で先輩だった金本知憲氏を慕って08年にFA移籍。15年に広島に“里帰り”するまでの7シーズン、タテジマの主力選手として活躍したのです。

07年に始まったセ・リーグのCSで1つのチームで「監督=選手」の間柄だった2人が2球団の監督として対決するのも初めてのことです。その視点でいけば虎党にとって複雑なような気もしますが球団サイドからすれば意義あることだとも思います。

「阪神は人気はあるけど実績は少ないからな。実際、阪神のOBで他球団の監督になったという人は少ないやろ」。30年前に野球記者になったころ、阪神以外の球界関係者からときどき、こんな話を聞きました。

確かにそうです。印象深いのは田淵幸一氏が90年にダイエー(当時)監督になったこと。その後、中村勝広氏が06年にオリックス監督を務めました。オリックスの監督は岡田氏も経験しています。そして記憶に新しい日本ハムの新庄剛志監督でしょうか。

12球団の中で、この状況が多いのか少ないのか一概には言えませんが確かに「老舗球団」としては球界に多くの監督人材を送り込んではこれなかったような気はします。

もちろん広島出身の新井氏は広島でプロ入りし、カープOBのイメージも強い。それでも阪神でしっかり活動したことは間違いありません。日本シリーズ進出をかけ、18日からぶつかる阪神と広島。その2人が阪神の主力選手だったということは、かつての状況からは考えられないことかもしれません。激闘でセ・リーグを、プロ野球を盛り上げてほしいと思います。【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「高原のねごと」)

07年12月7日、入団発表の会見でポーズをとる新井(右)と阪神岡田監督
07年12月7日、入団発表の会見でポーズをとる新井(右)と阪神岡田監督