5月10日、水曜日。久しぶりに岡田彰布に会った。甲子園でのヤクルト戦の4時間前に立ち話。最初はジャブで様子をうかがった。「試合中、ずっと口を動かしているけど?」「おーん、あれはアメをなめているんよ」。そこから岡田ならではのしゃべりが始まった。
なんでも岡田が好きなのは「ドロップ」と呼ばれるキャンディ。「それがないんや。コロナ禍の影響で、むき出しのアメはアカンとかでな。だからいまはひと粒、ひと粒、袋に入ったアメになっているから、面倒臭いは」と笑っていた。
そんなジャブのあと、次はストレートに聞いてみた。「6番問題が解決気配なのに、今度は3番問題が発生?」。どんな反応があるか、と思ったら、岡田は笑って「そんなん、考えてるわ。まあ、今日のスターティングメンバーを見たら、わかるから」ときた。
そこから数時間後、先発メンバーの発表。3番に小野寺、6番に井上。早々と手を打った。それが外国人選手外しと若い外野手の起用。思い切った起用法だった。
ここに至った解説を聞いていた。「ノイジーなあ、まだストライクゾーンに戸惑いがあるようやし」。9日のゲームでノイジーは自信を持って見送った打席があった。アウトコースギリギリの球だったけど、判定はストライクで三振になった。ノイジーは明らかに不満気な態度だったが、岡田は振り返って「あれはストライクよ」と認めていた。
疑心暗鬼になって、自分で深みにハマっていくという状況に、岡田はひと息つけと先発を外した。ではミエセスはというと、やはり相手先発が技巧派の石川ということで、これは合わないと判断しての外しになったようだ。
ただしミエセスには、期待感にあふれた言葉を続けた。「オレはアイツ(ミエセス)にはとんでもない可能性があると見ている。大化けするかもしれない。それだけの力を秘めている。そこに期待やな」。いずれにしても、この外国人打者の実力判断はまだ先ということ。そこまでどう対応していくか、ここも岡田の監督力が問われるわけだ。
前回の監督時を思い出してみた。2004年はアリアス、キンケード。2005年がシーツとスペンサー。2006年は同じメンバーで2007年がシーツだけ。最後のシーズンとなった2008年はフォードとバルディリス。まともに働いてくれたのはアリアスとシーツで、2人は日本野球の経験者。岡田は外国人打者にはさほど恵まれていなかったという結果になっている。
いますぐ、どうこうすることはない。ノイジー、ミエセスの可能性を消すことは考えていない。キッカケさえつかめば、大きく様変わりするはずと思っているが、それを待つにも限度がある。その時はどんなアクションを起こすか。それが新外国人探しとなる。
当たり前のことだが、球団は常に先を見て考え、動いている。もし現有の外国人が期待外れになれば、次に目を向け、チーム状況に応じた新外国人選手のターゲットを絞る。そんな作業を地道に続けている。いつ何時、現場から要請があっても、すぐに即応できる準備を進めている。それが球団の担当部署の役割。水面下で作業は進んでいるはずだ。
岡田は言っていた。「外国人を軸とは考えない。依存度はそう高くない。でも重要なポジションであることに変わりない」。軸ではないけど、3番、6番を任せてきたわけだから、ここが不発なら、チームの勝ち負けに直結する。それをいつまで辛抱できるか。そこがポイントになる。
「明日(11日)は使うよ」と岡田は明かしている。24時間のリフレッシュで、どう変化するか。これは興味深いが、ノイジー、ミエセスとも懸命にプレーするタイプ。こういう選手には日本で成功してもらいたいと願うが、あくまで力勝負の世界。猶予期間はあるようで、そうはない。【内匠宏幸】(敬称略)




