ロッテ本前郁也(2019年1月8日撮影)
ロッテ本前郁也(2019年1月8日撮影)

日刊スポーツ評論家・田村藤夫氏(61)のみやざきフェニックス・リーグからのリポート4日目は予備日。ここまで3試合の中で、ロッテの昨年育成1位ルーキー本前郁也投手(23=札幌光星-北翔大)の特長あるピッチングが目を引いた。いわゆる投げっぷりの良さで、視察に来ていた各球団の編成担当とも意見が一致した。今後が楽しみな左腕だ。

10日の阪神戦で先発。4回を投げて7安打2失点。6三振で2四球という内容だった。最速は149キロ。4回からがくんと球威が落ちて141キロ止まりだった。

特別意識せずに見ていたのだが、投げる動作に自然と目がいく。球界で良く使われる「なげっぷりの良さ」という印象だ。これを文字で表すのは苦労するが、中日の大野雄大、楽天の松井裕樹を思い浮かべてもらえれば、イメージが湧くのではないか。腕の振りがよく、思い切りの良さを感じる。

そんな感想を抱きながら経歴を見ると育成1年目とある。そうなると、さらに良く見えてくるから不思議だ。仮にドラフト1位ならば、そこまでの驚きはなかったかもしれない。しかし、情報を持たずに見ていたからこそ、フォームから感じるものがあったのかもしれない。

本前のいい面と、強化ポイントははっきりしている。まず、ストレートとスライダーの腕の振りがほぼ同じ。1、2回で5三振を奪っているが、ストレートの空振り三振が2、ストレートの見逃しが1、スライダーの見逃し2。阪神打線がストレート、スライダーの見極めに苦労していることが感じられた。

毎回ヒットを打たれているが、3回までは5三振を奪い、生きのいいピッチング。それが4回に入ると、スタミナ切れ。この回に3安打1四球で2点を失っている。

まずは最低でも5回から6回くらいまでは投げられる体力をつけないと、先発は務まらない。3回までは制球もまずまずの精度だったので、立ち上がりのピッチングを少しでも長く持続できるかが課題だ。

感覚的なものだが、投げっぷりがいいというのは、投手にとっては大事なものだ。そういうイメージは見ているファンだけでなく、打者も同じように感じる。投げっぷりの良さからくる気迫に圧倒されることだってある。育成1位から、支配下契約を勝ち取り、1軍昇格を目指し、長所である腕の振りを忘れず、どんどん投げ込んでもらいたい。

12日はオリックス-DeNA(SOKKEN)からリポートする予定だ。(日刊スポーツ評論家)