夏の甲子園4年連続出場中の花咲徳栄(埼玉)が10日、卒業式を行った。日本ハムに進んだ野村佑希内野手をはじめ卒業生部員45人を、岩井隆監督(49)が集め、静かに語り出した。「贈る言葉」は以下の通り(一部省略)。
3年間、本当にお疲れさまでした。今日、素晴らしい卒業式を迎えられたということは、君たちの努力、先生方の努力のたまものだと思います。
いろいろなことが3年間ありました。いい思い出もあれば、嫌なことや失敗したこともあったと思います。いつも俺が思っていたことは「いま分からなくても、いつか分かってくれるはずだ」と。卒業してから分かることもたくさんあるはずなので、それを信じてやってきました。
道には2つあると言われています。人が作った道と、自分が切り開いていく道。ここまではお父さんお母さんや先生方、いろいろな人たちが作ってくれた道を歩んできたんだと思う。これからは1人1人が自分の道を歩んでいく番。ただ、この2つの道は全く別物じゃない。常に並行して伸びていると思っています。
いつかこの道はまた交差するんだ。その交差した時が、君たちが今まで育んできた教育が思い出される時です。時に「ああ、先生こんなこと言ってたな」「親がこんなこと教えてくれた」。それが「交差する」というんです。これから花咲徳栄の教育を終えて、自分の道を切り開いていくんだけども、その教えをしっかり守っていけば、十分に社会に出ても胸を張っていける人材だと思っています。それを信じてこれからスタートを切ってください。
(夏の埼玉大会)4連覇への本当に苦しい道、いま思い起こすと本当につらいプレッシャーを乗り越えた君たちです。後輩たちも君たちの努力を見て知っていますから、受け継いでくれると思います。花咲徳栄高校の伝統はずっと、末永く続きます。常に応援し続けてくれることを願っています。このたびはおめでとうございます。
最後のメッセージを伝えた岩井監督には、卒業生から寄せ書きの色紙が贈られた。思いもしなかった「贈られた」言葉を食い入るように見つめ、練習中には見せない笑顔で、教え子たちの卒業写真に納まった。【金子真仁】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)