開幕の時期が見えない日本の野球ファンに向け、海の向こうから連日メッセージが届いている。日本プロ野球外国人OB選手会(JRFPA)のツイッターには、往年の名外国人選手からのビデオレターが続々と載っている。15日現在でその数26人。ファンを沸かせた元助っ人たちが、年齢を重ねた今の姿で語り掛ける。

今年のはじめに日本国内で新型コロナウイルスの流行が始まった際に、元助っ人たちはネット経由で敏感に危機を感じ取った。JRFPAのスタッフには、SNSやメールで「日本は大丈夫なのか」との問い合わせが続々と届いた。レジェンド級の助っ人たちが発する言葉の意味は大きい。野球に飢えたファンの気持ちを考えればなおさらだ。

そこで、巨人最強の助っ人と呼ばれた、ウォーレン・クロマティ氏(66)をトップバッターに起用し、ビデオメッセージ配信を始めた。東京在住の同氏は、ベランダでバットを振りながら登場。「外に出られないから、こうして体を動かしている。4月24日の開幕はやめといた方がいいと、僕は思うよ」と語り掛けた。日本ハムでさまざまなパフォーマンスでファンを楽しませ、NPB通算160本塁打のマット・ウインタース氏(60)は自らビデオムービーを作成。「BASEBALL VS COVID-19」と題し、現役時代の写真や動画をふんだんに盛り込んでファンを激励した。また、横浜(現DeNA)の強打者だったグレン・ブラッグス氏(60)は「たまには外にも出ようじゃないか。免疫機能を高めないとね」と元アスリートならではの提案も行った。

JRFPAは18年11月に発足。米国出身の実業家で日本在住のウィリアム・ブルックス氏(43)が「元外国人選手たちが引退後も交流できる、包括的な団体を作ろう」と発案した。会員は約190人を数え、さまざまな活動を繰り広げている。昨年5月には元大洋(現DeNA)カルロス・ポンセ氏(61)ら4人が来日し、野球教室などを行った。同年8月には近鉄で本塁打王3度のラルフ・ブライアント氏(58)のトークショーを、大阪市内で開催。今回のビデオメッセージもその一環だ。プロ野球開幕を待ちわびるのは、元助っ人選手もファンと何ら変わりない。「開幕おめでとう!」とのメッセージが届く日が待ち遠しい。【記録室・高野勲】

※JRFPAでは4月24日午前10時から、元外国人選手による、ファンとのオンラインミーティングを開く。詳細は同会のツイッター上で。https://twitter.com/OB_Foreign9

雨模様に傘のかぶり物をしてあらわれた日本ハム時代のマット・ウインタース氏(1992年2月4日)
雨模様に傘のかぶり物をしてあらわれた日本ハム時代のマット・ウインタース氏(1992年2月4日)