第106回全国高校野球選手権大会の組み合わせ抽選会が4日、大阪市内で行われる。
センバツ優勝の健大高崎(群馬)も春夏連続出場を決め、焦点は甲子園春夏連覇に…はもちろん、箱山遥人主将(3年)のプレーや振る舞いにも熱視線が送られそうだ。
群馬大会でスカウト陣が「だいぶ貫禄が出てきたね」と笑った。ほめ言葉だ。準々決勝の前橋育英戦、上毛新聞敷島球場の左翼へ場外弾を放った。ポール際の際どい当たりで「前にも場外ファウル打ったことあるので…」とすぐには走り出さず、いわゆる“確信弾”のようになった。
ダイヤモンド1周へしっかりと走り出す前、派手なガッツポーズはなかった。至って真顔で自校ベンチを見て、指をさした。「気を抜いたら負けだぞ!! 引いたら負けだぞ!!」。自分がベンチでずっと叫んでいたように、ちょっとしたことでは喜ばない。
サヨナラ負け寸前までいった時も、顔に出さなかった。昭和を感じるようなリーダーシップを誇りつつ、冷静だ。練習試合で間近で箱山のプレーを見たことがある。試合中、投手にほとんど声をかけなかった。「声が聞こえないこともあるのでサインでやりとりすることが多いですね」。
とはいえ内面の熱さは高校生ばなれしている。健大高崎はなぜ8年間、夏の甲子園に行けないか-。主将としてずっと考え、悩んでいた。
「メンバーの3年生とベンチに入れない3年生の温度差が自然とできて、その雰囲気のまま夏の大会に入ってしまうのが良くないんじゃないか」
その仮説をもとに、指導者たちに直談判。「本当に優しい、選手ファーストの方々なので」と青柳博文監督(52)らスタッフには心底の感謝を示す。感謝しながらも。
「指導者の方々が夏に行けないのを一番悩んでると思いますし、何が正解か分からないんじゃって思って。自分たちが提案して夏に甲子園行くことで、それを正解にして、指導者を助けたいです」
そんな熱い思いで、3年生が夏の大会間近になっても全員が練習にフル参加した。大会中もメンバー外の3年生も参加しての紅白戦を行った。群馬大会中、青柳監督は明かした。
「もし甲子園に行けたらメンバーを2人入れ替えるつもりだと、選手たちには言っています」
その言葉も28人の3年生を奮い立たせ、最後まで白球にのめり込ませた。エース佐藤龍月投手(2年)の故障という予期せぬ事態もあったが、最終的には青柳監督の宣言通り、群馬大会はベンチに入れなかった杉山優哉投手(3年)加茂優太朗捕手(3年)が甲子園のベンチに入る。
「みんなと、特に3年生のみんなととにかく1日でも長く健大のユニホームを着たい」が、春夏連覇への原動力。その先頭で堂々けん引する箱山の姿は、周囲の高校生以上に覚悟を感じる。【金子真仁】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)




