高校野球界では大きな1歩だった。滋賀で開催された国民スポーツ大会で公式戦では初となる7イニング制を採用して全7試合が行われた。現場では賛否どちらの声も上がった中、仙台育英の須江航監督(42)は「指導者の意見は大した問題じゃなくて、彼ら自身がどう感じてどうあってほしいか。彼らの高校野球なので」と選手の意見反映を願った。そこで選手の声を中心に7イニング制を振り返る。

単純に2イニングが短縮されたことで、試合時間が短くなった。平均は1時間41分で、最短は1時間29分。今夏甲子園の平均時間が2時間11分だったことを考えると、約30分の短縮につながった。山梨学院の横山悠捕手(3年)は「めちゃくちゃ早く感じた。もの足らなかった」と苦笑い。7回完投した尽誠学園の広瀬賢汰投手(3年)も「もう少し長く投げたかった」と本音も漏れた。

共通意見として「先制点の重要さ」が挙がった。先制逃げ切りは7試合中3試合だったが、逆転勝ちだった4試合でも勝利校は許した先制点を2点以内に抑えることで勝機を見いだした。山梨学院の梅村団内野手(3年)は「先制点を取って優位な展開で進めれば、7回制だったら勝ちやすい」と実感。高川学園は、通常9イニング制だと後攻を選択するが、7イニング制では先攻をとった。

投手視点でも気を使った。仙台育英の吉川陽大投手(3年)は「ビッグイニングを作られないようにしました。7回で1点ずつを積み重ねていくのは難しい。集中力が大事になると思う」と影響を話した。捕手側もリードは変化。山梨学院の横山は「初回から少し慎重にならないといけない。先制点を取られたら痛い」と精神的変化を話した。

体力面では負担軽減につながった。県岐阜商の柴田蒼亮投手(2年)は「いつもより球数も少ないので、体の負担はそこまでない。体力温存できるかな」とメリットを実感した。4日間で3試合を戦う過密日程だったが、全イニング出場した高川学園の遠矢文太捕手(3年)は「体的には疲れがなかった」と負担は減ったようすだった。

打席数も変化する。単純に4番以降は2打席で終わる可能性が出る。「9番」で先発した尽誠学園の奥一真内野手(3年)は「1打席目から何も変えられなかった」とあっという間で修正がきかなかったと吐露。日大三の田中諒内野手(2年)も「1球も無駄にできなくなる。初球からの集中力が必要になる」と意識に変化が生まれた。

今回は「経験したことがないのでいいか悪いかわからない」という声から7回制実施に至った。日本高野連の井本亘事務局長は「一番大きな目的は硬式と軟式合わせて16校が(7回制で)やった上でどうだったかは大きなポイント。チーム全体でどうだったかまとめて感想としてもらいたい」とアンケートを実施する予定だと明かした。

今回は大きな1歩を踏み出したことは間違いない。高校球児がどう感じたか。よりよい形で進んでいくことを願いたい。【林亮佑】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)

山梨学院対尽誠学園 力投する尽誠学園先発の広瀬(2025年9月29日撮影)
山梨学院対尽誠学園 力投する尽誠学園先発の広瀬(2025年9月29日撮影)