こういうのも見せてもらわんとね。エース菅野智之をKOし、東京ドームらしい打ち合いを制し、5本塁打を放って巨人に2連勝。阪神ベンチはほとんどの選手がイキイキして、本当にいい連勝だった。

そんなタイミングでこんな話を書いてみたい。開幕前から今季の阪神について「ちょっとどうかな」と感じていることがあった。以前にもちらりと書いたが新加入の外国人選手の背番号についてだ。今季、阪神は中日から来たガルシアに「77」、そしてマルテに「31」をつけさせた。

「31」は言うまでもなくミスタータイガース掛布雅之がつけた栄光の背番号だ。掛布は17年までの2軍監督時代にも再び背負っていた。そして「77」は03年に歓喜の優勝に導いた星野仙一が阪神時代につけた。

いずれも阪神にとっては意味のある大きな番号だと思っている。それを簡単に外国人選手に背負わせるのはどうなんだろう。そう感じていた。そんなとき球団幹部、指揮官・矢野燿大が大阪・中之島の日刊スポーツを訪れる機会があった。ちょうど良い機会だと思ったので聞いてみた。

幹部からは空いている番号から本人たちが選んだので…という当たり障りのない答えだったが矢野のそれは違った。簡単に言えば、こういう話だった。

「マスコミの人もファンの方々もどうしても阪神といえば85年、あるいは03年の話になると思うんですよね。歴史は大事にしなければいけないけれど、やっぱり、これからの阪神というものをつくっていかなければならない。過去にあまりこだわるのもどうかな、とは思います」

「ふうん」と思った。85年はともかく矢野は03年の優勝メンバーだし、あの優勝を誇りに思っている人物の1人だろう。それでも監督になったことは別にして、OBとして、これからの阪神をしっかり見据えているということだ。100%ではなかったけれど納得はした。

阪神担当キャップだった03年6月21日の巨人戦(東京ドーム)を思い出す。桧山進次郎とアリアスが各2発、今岡誠と矢野が各1発。計6本塁打をたたき込んで圧勝した。当時も巨人監督だった原辰徳はこの敗戦に悔し涙を流したという。それには及ばなかったが虎党をスカッとさせる試合だったのは間違いない。新監督・矢野の下、新時代をつくれ。阪神よ。(敬称略)

阪神背番「77」ガルシア(左)と「31」マルテ
阪神背番「77」ガルシア(左)と「31」マルテ