今季阪神に新加入したジョン・エドワーズとジョー・ガンケルの2人に聞いてみたいことがあった。両投手は3日にともに初のブルペン入り。そこでの“初体験”について、だ。

最初に阪神名物の話から書く。ブルペン捕手の片山大樹のことだ。片山は今年でこの仕事20年目というベテラン。92年のドラフト4位でプロ入りしたが、1軍出場機会はなく、00年に現役引退。翌年からブルペン捕手の仕事についている。

温厚な人柄、豊富な経験で投手陣からの信頼も厚い片山にはある特徴がある。ボールを捕球するときに独特のタイミングで声を出すことだ。文字では伝わりにくいが、投手が球をリリースするタイミングで「あ~」と言い始め、ミットで捕球する瞬間に「あっ!」と続く。

投手を盛り上げるために大きな声を出すブルペン捕手は他球団にもいるが片山は独特だ。そういう声を出すようになった理由は「捕球がヘタだったから」。捕球の際に「バシッ!」という音を出して投手を乗せるのはブルペン捕手の重要な仕事でもあるが、最初はそれができなかった。「だから『バシッ!』とか『おらあっ!』とか叫んでごまかしていたんです」。片山はそう笑う。

3日にガンケルの球を受けた片山はもちろん、例の声を出していた。ブルペン捕手は米国にもいるが、普通、こういう声は出さない。2人の外国人投手がこれをどう思ったのか。

「もちろん米国にはああいうブルペン捕手はいないね。確かに最初は『おやっ?』と思ったけど。まあ、そんなに驚くことはなかったよ。捕手の方からこっちに向かってエネルギーを出してくれてるんだな、と思っていたよ」

そう話したのはガンケルだ。そして少しこちらを驚かせたのはエドワーズの反応だ。実は来日する前から片山の声を知っていたという。「動画で見ていたからね。元々、いろいろな日本の野球をユーチューブなどでチェックしていたし。声を出すのは知っていたよ。いいんじゃないか」。そう笑った。

それを伝えると片山は「そうですか。よかったです」と笑った。最近の助っ人は来日前から日本野球を研究する。以前と違って、来てから驚くということは減った。もちろん、それが成功への第1歩だろう。両投手の滑り出しはなかなか順調かもしれない。(敬称略)

片山大樹ブルペン捕手(2014年11月18日撮影)
片山大樹ブルペン捕手(2014年11月18日撮影)