まいったな、これは、しかし。「こら、はずれや、きょうは」。安くないチケットを買って甲子園に足を運んでいる立場ならそう思う。先発・青柳晃洋から始まって繰り出した4投手全員が失点する惨状。打線もわずか2安打で今季ワーストの「12点差」をつけられて話にならなかった。

久々の“あれ”かとも思った。「巨人戦の後はちょっと疲れるというか、そんなことがあるんです」。元阪神監督で日刊スポーツ評論家・真弓明信も先日のテレビ解説で言っていた「G戦後症候群」。それも昔の話だろうし、今季はこれで巨人戦後の初試合は3勝3敗である。

とはいえ。さすがにあの巨人3連戦は心身ともに疲れただろう。負けられないという緊張感が伝わってきたし、ヒリヒリした展開の結果、2勝1分けの結果を残した。6日は休みだったし、ちょっとした「燃え尽き症候群」に陥ってしまっていたのかもしれない。

長いペナントレース、負ける試合も当然多い。接戦を落とすことに比べれば、大敗は後に残らないというのもよく言われる。もったいないのは横浜スタジアムで菅野智之が打ち込まれ、巨人がDeNAに負けていたことだろう。ここでヤクルトをたたいておけば頭ひとつ出たような気分になれていたところではある。

しかし、あらためてハッキリさせておきたい。今年はクライマックスシリーズがあるということだ。セ・リーグは三つどもえ。順位がどうなるかは予断を許さない。だがシーズン終了後の短期決戦でまたこの顔合わせになるのは間違いない。優勝できれば、巨人、ヤクルトのどちらかとだけだがいずれにしても厳しい。

ヤクルト奥川恭伸はよかった。3月28日、開幕カードの3戦目で投げてきたときは「まだ無理するなよ…」なんて視線で見ていたが好投手に育っている。阪神はこれで連敗だ。

こうなると次がイヤだろう。若者を波に乗らせてはいけない。「(奥川の起用は)向こうが決めることなんで、こっちはどうやって対策していくかを考えないと」。指揮官・矢野燿大は淡々と話したが新たな苦手の誕生かと不安になる。

それでなくとも今季はヤクルト戦が貴重だ。これで10勝4敗2分け。貯金15のうち、多くがこのカードなのだ。だからこそ残り2試合、必死でいかないとエラい目に遭う。燃え尽きている場合ではない。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

阪神対ヤクルト 3回表ヤクルト1死一、二塁、村上(左)に右越え3点本塁打を浴びる青柳(撮影・加藤哉)
阪神対ヤクルト 3回表ヤクルト1死一、二塁、村上(左)に右越え3点本塁打を浴びる青柳(撮影・加藤哉)