どうもバタバタしているような気がする。前向きに「躍動的」と言えばいいのか。木浪聖也だ。好青年で個人的にも応援している。しかし申し訳ないけれど何かやらかすのでは…というムードも漂ってしまう。

9番遊撃でスタメン出場したこの日もそうだった。4回裏、中日ビシエドの高い遊ゴロを処理。一塁へ送球したが本塁側にそれて生かしてしまう。悪送球。チームの課題である守備のミスがあっさり出る。

続く高橋周平に開幕投手候補の1人・青柳晃洋が死球を与えてしまい、ピンチが広がる。しかし6番・木下拓哉の遊ゴロを今度は木浪がギリギリのタイミングでさばいて「6-4-3」の併殺を完成させた。

すると、5回表だ。この回、先頭の木浪が右中間に二塁打を放ったことをきっかけに阪神は糸原健斗の犠打でシブい得点をする。守備のミスをカバーしたことになるのかもしれない。

だが三塁に回っていた5回裏。無死一、二塁から岡林の三ゴロでベースを踏んで一塁へ送った木浪の球がまた浮いてしまう。なんとか併殺を取れたものの、またしてもミスの気配をちらり感じさせた。目立たないけれど、なかなかの“暴れっぷり”だ。

対して途中から遊撃に入った小幡竜平の守備は安心できる。6回、ルーキー桐敷拓馬が投げる間に2つの遊ゴロを処理。特に2死満塁から京田陽太が放ったゴロを前進し、軽く処理したのはセンスを感じさせた。

「遊撃の定位置」は今季、阪神のテーマだ。と言いつつ普通にいけば昨季、新人ながらチームを支える活躍をした中野拓夢の起用が有力だろう。しかし中野はコンディションの問題もあり、今春のキャンプはファーム調整が続いている。

そしてファームは現在、コロナ感染者が続いており、1、2軍の入れ替えは事実上、封印している。球団は特に発表していないが、この状況は、沖縄から本土に戻ってもしばらくは続くかもしれない。

木浪や小幡にすれば中野のいないうちにアピール…ということなのだろうが開幕まであっという間に1カ月を切った。重要なポジションが決められないのはやはり安心できない。

「競争、競争と言うが最後は監督が与えるものなんだ。ポジションは」。いつも書くが闘将・星野仙一の言葉を思い出すのはこの時期である。監督最後の4年目、矢野の決断は-。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

中日対阪神オープン戦 4回裏中日無死、ビシエドは木浪の悪送球で出塁する。一塁手はマルテ(撮影・上田博志)
中日対阪神オープン戦 4回裏中日無死、ビシエドは木浪の悪送球で出塁する。一塁手はマルテ(撮影・上田博志)
中日対阪神オープン戦 5回表阪神無死、右中間へ二塁打を放つ木浪(撮影・上田博志)
中日対阪神オープン戦 5回表阪神無死、右中間へ二塁打を放つ木浪(撮影・上田博志)