新外国人投手にエエとこ見せたで。次は今季初先発の若手もアシストしたれ。そんな思いが募ってきた。初戦の勝利で「G倒3連勝」が至上目標となったこの東京ドーム。まずはカード勝ち越しを決めた。

終わってみれば大差のついたゲームだがハッキリ言って巨人の自滅である。同点の7回に登板した2番手・今村信貴がまさかの乱調。1イニングに5四球では投球にならなかっただろう。一気に6点。これで阪神の勝ちは決定的になった。

そんな試合でもっとも手応えを感じたのは1点を追う6回、佐藤輝明の左前打で同点にした場面か。巨人シューメーカーを攻め、2死から中野拓夢の中前打と盗塁でつくった好機で貴重な1点を奪った。

これで救われたのが5回で降板していた先発ウィルカーソンだ。「今季3度目の先発登板でもっとも調子はよくなかったけど粘ってくれた」。指揮官・矢野燿大もそう振り返った投球だったが特にいいなと思ったのが3回だ。

先頭の岡本和真の三ゴロを佐藤輝がジャンピング・スローで一塁へ悪送球。岡本だし、そんなに焦って投げなくても…と思ったプレーで無死一塁。ここから巨人打線はウォーカー、丸佳浩と続く。これはズルズルいくかと不安に思ったがウィルカーソンはその2人を三振に切るなど後続をしっかり断った。

味方が失策した場面で投手が打たれるのは仕方がない面もあるのだがピシッと切れば双方に信頼感が生まれる。その佐藤輝が6回にウィルカーソンの負けを消す安打を放ったのは実にいい流れだった。

この新外国人投手はまだ打線に恵まれていない。初登板初勝利だった4月16日巨人戦(甲子園)は自身が7回1失点の好投だったが阪神打線は2得点。初黒星の同23日ヤクルト戦(神宮)は7回途中まで青木宣親の1発だけの1失点。味方は無得点だった。

助っ人選手は冷静に自分のチームを見ているものだ。表には出さないが「こんなものか」と思ったり、反対に「やるじゃないか」と感心したりする。その意味でまだ阪神打線に満足はしていないだろうが、この日の逆転勝利で粘りだけは感じたかもしれない。

さあ3戦目は若い西純矢の今季初先発だ。しっかりと得点を重ねて「先輩たち。さすが」と思わせられるかどうか。3連勝はそこにかかっている。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

巨人対阪神 6回表阪神2死二塁、佐藤輝は左前に同点適時打を放つ(撮影・上田博志)
巨人対阪神 6回表阪神2死二塁、佐藤輝は左前に同点適時打を放つ(撮影・上田博志)