ホンマ、しまいに投手もおかしなってまうで、という話だ。広島の床田寛樹は関西出身、高校は箕面学園。地元で張り切った好投だったのは認めるが、まあ阪神打線が打てない。打てる感じにならないのだ。

特に気になったのは8回だ。2点ビハインドで登板した3番手・岩貞祐太が2安打2死球の乱調で1死も取れず、降板。後を受けた浜地真澄が好投し、1失点ですんだが危うく試合が壊れるところだった。だがブルペン陣を責めているのではない。その反対だ。

5月に入って8試合目だったが2番手以降が失点したのは今月初めて。先発陣も徐々に調子を上げ、ブルペンも状態を上げ、いい感じで投げ続けている。しかし勝ちにつながらない。全38試合で0封負けが10試合というのは、おかしい。

「先制されても2番手以降が踏ん張っていれば逆転する可能性は増える。負けパターンで出てくる投手であってもリリーフが打たれたら試合にならない」。広島の指揮を執り、3連覇を達成した緒方孝市(日刊スポーツ評論家)はそんな話をする。今の阪神はそこはできているが打てないので勝てない。

最後の場面。2死一、三塁、カウント3-0から打って出た大山悠輔に「なんで?」と感じる虎党は多いかもしれないがあれは責められない。大山が歩いて2死満塁になってもそれで勝てる可能性は低いからだ。

糸井嘉男、原口文仁の代打陣が残っているではないかと思うかもしれないが簡単ではない。やはりスタメン、特に大山の立場なら「オレが決めないと」と力が入るのは当然だ。

そこで大山を気の毒に思うのは「5番左翼」だった点だ。大山は8日中日戦、7番で同点本塁打を放っている。昨季を見ても7番の相性がいい。クリーンアップの気負いから解放されるからではないか。それがわずか1試合で5番に戻った。しかも慣れない左翼手として。これでは余計な重圧がかかるのではないか。

ムードメーカーの北條史也を使えば…と思っていたが、それは糸原健斗の代わりとしてだ。佐藤輝明、大山を外野に配置してまで三塁を守らせ、熊谷敬宥と2人並べる必要があったのか。首脳陣として理由はあるのだろうが、正直、ただでさえ迫力のない打線がさらに苦しい感じになってしまった。そして結果は…。このままでは頑張っている投手陣まで崩れてしまう。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)