スタメンが発表されたときに違和感を感じた。どこが妙か。少し考え、虎番記者たちの知恵も借り、その感覚の正体が分かった。それは守備位置である。

この日、ベテラン糸井嘉男が4月30日以来のスタメン復帰。マルテも前日に戻っており、マルテから佐藤輝明、大山悠輔のクリーンアップに糸井という現状、チームが考えるベストの布陣となった。4番打者以降を書いてみる。

4番三塁 佐藤輝

5番左翼 大山

6番右翼 糸井

開幕時と比べ、顔ぶれは同じでも守備位置が違っているのだ。開幕戦、打順は違うがこの3人はこんな感じだった。

4番右翼 佐藤輝

6番左翼 糸井

7番三塁 大山

佐藤輝は入団以降、三塁と右翼の両方をやっている。大山は内野手だがチーム事情で外野も守ることはごくまれにある。糸井はずっと外野手だ。

それでいけば特におかしくはないと言えるが引っかかるのは開幕時のように慣れたポジション、つまり“本職”で試合に出すことも可能だったのでは…ということだ。くどいけれど、打順はそのままにそのケースを並べてみる。

4番右翼 佐藤輝

5番三塁 大山

6番左翼 糸井

特に問題はない。糸井は右翼手だったが右翼は守備範囲が広いし、ベテランにはキツいと左翼にしたはず。そう思えば、この日の守備位置はどういう狙いの“シャッフル”なのか。現状、なかなか自由に取材できないので謎を感じたままなのは申し訳ないのだが。

細かいがそういうところが重要だと思う。この試合、1点リードの6回に守備の課題が出た。無死一塁で坂倉将吾は二ゴロ。併殺! と思ったが二塁・糸原健斗が送球に入る前に球を持ち直し、坂倉を生かした。

その後、小園海斗に適時三塁打が出て、同点に。さらに末包昇大に犠飛が出た。近本光司でなくても「刺せ」というのは厳しいだろうがクロスプレーにもならないのは少し寂しい。

勝ちパターンを注ぎ込んでの1点差負け。これで1点差試合は5勝13敗だ。12日は雨予報だし、広島には勝っていないし、逆転を信じての投入は仕方がないだろう。だが、そんな戦いに持ち込む覚悟なら守備位置からしてなるべく重圧のない状況を整えるべきなのでは…という気はする。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)