痛すぎる逆転負けだ。先にヤクルトが巨人に負けていた。ここで勝てばゲーム差が少し縮まる-。おまけに開幕投手ながら勝ちのない藤浪晋太郎に今季初白星もつく。これは「奇跡」に向けと前進か…と思ったところで強烈な敗戦だ。

ここで少し頭をよぎることがある。抑え投手の人選について考える時期にさしかかっているのか…ということだ。このまま岩崎優で行くのか。それとも…。

岩崎が今季4敗目を喫したのには不運もあった。無死一、二塁からセカンド小幡竜平が二ゴロを捕球したものの一塁へ悪送球(記録は内野安打と失策)。さらに中野拓夢がイレギュラー・ゴロに対応できない適時失策もあった。

しかし、どちらもあきれかえるようなミスではなかった気はする。それ以前に3点リードで登板しながら、いきなり連打を食らったのは痛かったし、これで広島打線に勢いを与えてしまったのは否定できない。

もちろん野球は攻守が絡み合っているものだ。4回までに5得点したとはいえ、その後は好機をつくりながら得点できなかった打線も遠因である。そうは思うけれど、やはり抑えの失敗…と思わざるを得ない。

もちろん岩崎を責めるのは酷だ。ここまで25セーブとタイトル争いするほどの結果を残している。当然、疲労もあるはず。そもそもがセットアッパー。スアレスが抜けた今季もその予定だった。しかし抑え候補だったケラーが開幕からまったく使えず、急きょ回ってきた役回りだ。バンバン三振を取るタイプでもないけれど、そこを経験でしのいでいる状況なのだ。

このまま岩崎の抑え継続か、それとも。遅まきながら本領発揮してきたケラー、さらに言えば湯浅京己の成長もある。ケラーと言えば先月15日にコロナ陽性になるアクシデントがあった。それがなければ後半戦入りを機に状況も変わっていたかもという気もするが終わったことは仕方がない。「奇跡」へ向け最後の勝負のいま、考える時期にきているのかという気はする。

しかし簡単ではない。抑えには経験が必要だ。そこが秀でているのは間違いなく岩崎だろう。さらに実際に配置転換となれば岩崎のメンタルも気になる。「今季は岩崎に任せた」と強行するのか。少し休ませるか。それとも思い切って配置転換なのか。いずれにせよ指揮官・矢野燿大の決断にかかっている。(敬称略)

【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

広島対阪神 9回裏広島1死二、三塁、菊池涼の遊ゴロが失策で同点となり、落胆する岩崎(撮影・前田充)
広島対阪神 9回裏広島1死二、三塁、菊池涼の遊ゴロが失策で同点となり、落胆する岩崎(撮影・前田充)
広島対阪神 9回裏広島1死二、三塁、菊池涼の遊ゴロを中野が失策して同点とされ、落胆する矢野監督(中央)ら(撮影・前田充)
広島対阪神 9回裏広島1死二、三塁、菊池涼の遊ゴロを中野が失策して同点とされ、落胆する矢野監督(中央)ら(撮影・前田充)