阪神に「史上初」の出来事が起こっていることは意外に知られていないかもしれない。第35代監督として2度目の指揮官に就任以降、話題を振りまいている岡田彰布。独特の「岡田語」が連日、スポーツ紙などをにぎわしているが、この岡田語のベースはもちろん大阪弁。岡田は大阪市内の出身である。

第35代監督と記したが長い歴史の中で、大阪出身者が阪神監督になるのは04年から1次政権を執った岡田が初だった。そして2人目が今季まで4シーズン、指揮を執った矢野燿大である。矢野も大阪市の出身だ。

過去、大阪生まれで阪神の監督になった人物はこの2人しかいない。ということは出身別で監督交代が「大阪→大阪」となるのは阪神史上、初めてなのだ。

それがどないしたんや? と言われればそれまでだが、かつては「大阪タイガース」と名乗ったことを考えれば不思議な感じもする。虎党が大阪、関西人だけではないのは言うまでもないことだが、やはり地元出身者が監督を務めるのは楽しい気がする。

来季、セ・リーグ監督6人の出身はどうだろう。3連覇を狙うヤクルト高津臣吾は広島出身。広島カープは地元出身の新井貴浩が新しく就任したので広島出身は2人になった。巨人原辰徳は神奈川の出身、生まれたのは福岡だ。中日立浪和義は大阪出身なので大阪と広島は最多タイの2人だ。

そしてDeNA三浦大輔は奈良。この三浦に関しては岡田と縁がある。岡田の現役時代、オフに後援会主催のソフトボール大会が開かれた。後援会の名前は「岡田会」。地元・大阪は玉造の商店街を中心に結成されていた。そのソフトボール大会に中学生だった三浦が参加したという。

「だから大輔くんは身内みたいな感覚なんや」。以前に岡田自身が雑誌「ベースボールマガジン」で語っていたことだ。三浦の結婚式にも出席したという。

15年ぶりの戦いとなる来季開幕戦はそのDeNAが相手だ。「どっちみちやらなあかんのやからな。別にそんなん何もないよ」。早々と開幕への意気込みを問われ、岡田は苦笑したそうだが、さあ、どうなるか。

大阪2人、広島2人、そこに奈良と神奈川+福岡が1人ずつ。西日本優勢なのは野球の傾向そのものかもしれないが、出身にかかわらずプロ野球を応援するファンのために熱い戦いをお願いしたい。(敬称略)