NHK-BSで「甲子園ボウル」の中継を見ている間に入るニュースに目を留めた。「定年制を設けている企業のうち定年の年齢を65歳やそれ以上としている割合は24.5%となり、過去最高となりました」-。なるほど。厚生労働省の調査によるという。

こちらの新聞社も数年前に65歳定年になっている。待遇などは変わるけれど少なくとも65歳までは正社員として働かせてもらえるということらしい。

定年は60歳というイメージが強かった。もっと以前は55歳が多かったようだ。20代のころはそんな年齢まで働けるかなと思ったりしたが、あっという間にそんな年齢まで来たし、そう感じる人は多いだろう。

これからどうなるかな-なんて気持ちでいたときに日刊スポーツの芸能面で楽しい記事を読んだ。今年の「紅白」にサザンオールスターズ桑田佳祐、佐野元春、世良公則、Char、そして野口五郎で結成する「最強の同級生」バンドが特別出演するという。全員55年生まれの学年で67歳だ。

若い人はピンと来ないかもしれないが言わずと知れた著名アーティストたちが子供たちの未来を願うチャリティー・ソング「時代遅れのRock'n'Roll Band」をテレビで初歌唱という。

昔と違って、老若男女、誰でも知っている歌はなくなっていると言われるし、この5人にしても知らない人は知らない、楽曲については5人を知っている人でも知らないという状況もあるかもしれない。それでも60代半ばのオヤジたちがまだまだ頑張っている姿には元気がもらえるはず。

そして阪神だ。指揮官・岡田彰布は先月65歳になった。会社員なら「お疲れさま」である。だが岡田はこれから2年契約。57年の11月生まれなので66歳で迎える24年シーズンまで指揮を執ることが決まっている。

就任記者会見で若い人との世代間ギャップ、コミュニケーションの難しさを質問され「コミュニケーションで打てませんから」と言っていた岡田を面白いと思った。そう言い切ったわりには秋季キャンプで選手に寄り添う姿も見せていたし、柔軟さもある。

もちろん戦いが始まり、その結果次第ではソフトムードも変わる可能性はある。それでも「65歳の挑戦」は面白い。本当に「アレ」に成功すれば、それこそ紅白のゲスト審査員に呼ばれるかも。そんなシーズンを今から期待している。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)