「おう。ははは。会心よ」。虎番キャップたちがつくる取材の輪がとけた通路。こういう勝ち方はうれしいのでは? 少々、ストレート過ぎるかもしれない問いかけに指揮官・岡田彰布は笑いながら答えたのだ。

1点を大事にする。投手を中心とした守りの野球。これが岡田の目指すスタイルだ。それを体現したかのような勝利。虎党としてはスカッと打ち勝つ試合も見たいけれど、まずは岡田の言う通り、会心の勝利ということだろう。

3選手を代走に送った8回の攻撃が最大のハイライトだ。同時に岡田の理論でいけば、そこまでにも“見せ場”はあったと思う。大きかったのは5回から6、7回と3イニング連続で完成させた併殺ではないか。

中盤から終盤にかけ、しぶといヤクルト打線をことごとく封じ込めた内野守備。そう言うと失礼ではあるが、近年の阪神とは思えない締まり方だった。

特に同点の6回だ。1死一、三塁で打者は4回に二塁打を放っていた内山壮真。ホームで刺すか。併殺狙いか。阪神内野陣は通常の守備位置から注文どおり、6-4-3の併殺を完成させた。

「あそこはゲッツー狙いでした。落ち着いて決めてくれたね」。今季から就任した内野守備走塁コーチ・馬場敏史は満足そうに振り返った。

併殺の起点となったのは遊撃・木浪聖也。実は前日、ポロリとやっていた。10日ヤクルト戦、8回1死一、三塁の場面だ。オスナの遊ゴロをお手玉し、併殺にできるところを一塁で打者走者オスナを刺すだけにとどまっていたのである。すでに点差もあり、失策もつかないので“隠れたミス”にはなったがミスはミスだ。

「あそこね。試合後に話しましたよ。『あの打球は待って捕った方がよかったな』みたいな話はしました。この日はまさにそういう場面だったけど接戦ならあれは痛い。点差、勝敗にかかわらず、取れるものは取ろうという話をしました。この日は丁寧にいってたね。失敗から修正できるんだからいいよね」

木浪を評し、そう話した馬場は付け加えるようにこうも言った。「失策って言ってもね。守備範囲が広くなるとこれまでなら抜けていたのに届いて、結果的に生かしてしまうこともある。1回みたいにね」。今季初めて失策がついた中野拓夢についてだ。やはり締まった勝利である。(敬称略)