試合前から注目していたのは大竹耕太郎の打席だ。
前回まで10打席連続三振。出場試合すべての打席で三振していた。これは球団ワーストタイ記録。過去は意外にも? 藤浪晋太郎が記録している。好投の裏で「こんなのもめずらしい」と見ていた。
その最初の打席は1点を先制された3回裏に回る。DeNAガゼルマンが先頭・木浪聖也に死球を与えた後だ。ここでガゼルマンはなんと4球連続ボール。大竹は初めて塁に出た。そこから4得点だ。大竹は4回には自身初となる犠打を決めた。投げてはもちろん、2度の打席で勝利に貢献したということだ。
ここまで書いて、今季の阪神、面白いというか象徴的な数字があることを思い出す。「9番打者」の打率が低いのだ。この試合を終え、99打数9安打の打率9分1厘と1割もない。ちなみにトップはDeNAで2割2分もある。6球団とも、この時点で野手の9番はない。試合中の代打はあるが、まずは投手の成績と思っていいだろう。
大竹の“ワースト記録”を指揮官・岡田彰布にしてみた。「そうなんか? へえ~。そんな悪い方の記録、調べたるなよなあ。しかし、そうか。バント決めて、うれしそうにしてたわ。走ってるとき足動いてなかったけどな」。そして、その流れで笑って岡田は言った。「投手は打たんでええよ、そんなん」-。
試合が動いたのは3回だった。DeNAの攻撃は1死から打席に入ったガゼルマンが右中間を破る二塁打。塁上でガッツポーズをしたガゼルマンは左翼の守備位置にいたノイジーをチラリ。ノイジーは少しだけ両手を広げ「おいおい」という感じで助っ人同士のコミュニケーションだ。
これをキッカケにDeNAは1点を先制した。しかし、その裏、そこまで好投だったガゼルマンが突然、四死球で乱れたのは最初に書いたとおり。投手が出塁するのはなかなか難しい面もある。前日は青柳晃洋が逆転二塁打を放ち、投球面でも流れに乗ったのだが、この日は反対だった。
それを考えれば「投手は打たなくていい」というシンプルな考えは当を得ているし、阪神はそれを実践しているということかもしれない。だからこそ8番に打撃好調の木浪を置いて、つながりを重視しているとも言える。通算600勝をマークした岡田の戦い、ここまで落ち着いている。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)







