リーグ5球団を代表して最後の抵抗を見せる広島カープだが、その息の根を止める試合になったのではないか。ヒーローは多く生まれたが、やはり先発・村上頌樹だろう。独断で言わせてもらって今季の「MVP」に値する投球をここでも見せつけた。

阪神が8ゲーム差をつけての3連戦。残り試合数を考えても圧倒的有利は動かない。それでも、もし広島が勝ちを積み重ねていけば…。大事なのは言うまでもない初戦である。だからこそ広島はローテーションを変えて防御率2位の床田寛樹を当ててきたのだ。

だが阪神の先発も防御率1位を誇る村上である。ここでその座に恥じない投球を見せた。投手にとって難しいとされる立ち上がり。そこをわずか10球でねじ伏せた。甲子園を埋めた虎党のボルテージも上がる。

すると1回裏、森下翔太の先制10号ソロが飛び出した。2回には佐藤輝明も18号ソロ。得点することが難しい床田から序盤ポンポンと2点を奪い、主導権を握ったのである。

「投手を中心にした守りの野球」。指揮官・岡田彰布が掲げたポリシーだ。それを具現化した勝利だった。今季の阪神は強い。もう間違いない。これまでも間違いなかったけれど、いよいよ、これで決まりだ。

村上はMVPでもいいよね? 投手コーチ・安藤優也に聞いてみる。「そうですね。いいですね。でも岩崎優もいますよ。でも本当に素晴らしい投球だったと思います」。寡黙な男もそう評価した。

何よりうれしいのが誰がここまでやると思っていたか、という点だ。「誰も思てへんやろ、この時期に(村上)がこんな風に投げてるなんて」。岡田の言葉を借りればそういうことだ。MVPは優勝チームから出ると決まってはいないが今季「アレ」すればMVPは間違いなく阪神から選ばれるはず。打者では近本光司、大山悠輔ら候補がいるが“インパクト”という面では村上は群を抜くと思う。

村上には新人王の資格もある。「えっ? 資格あるんか? ほな決まりやろ」。試合後、岡田とそんな話をした。なにしろ村上には10勝に止まらない貢献度がある。投げる試合はこの日のように相手先発が好投手であることが多い。もっと勝ち星が伸びてもいいと思うが、とにかく防御率がその安定度を物語る。CSも日本シリーズも阪神には村上がいると思えるのだ。(敬称略)

阪神対広島 ヒーローインタビューを終え、お立ち台で記念撮影する、左から佐藤輝、村上、岩崎(撮影・上山淳一)
阪神対広島 ヒーローインタビューを終え、お立ち台で記念撮影する、左から佐藤輝、村上、岩崎(撮影・上山淳一)
阪神対広島 阪神村上(手前)は10勝目を挙げタッチをかわす(撮影・上山淳一)
阪神対広島 阪神村上(手前)は10勝目を挙げタッチをかわす(撮影・上山淳一)