逆転勝ちで阪神が38年ぶり日本一に王手だ。最終結果はまだ分からないが流れが阪神に傾きつつあるのは間違いない。ヒーローの記事は虎番記者でお楽しみいただくとして、ここでは地味ながら光ったプレーについて触れたい。

「頂上決戦」でこれはあかんぞと思ったのは7回、阪神の守備だ。2死一塁から3番手・島本浩也が森友哉を二ゴロに打ち取った…と思った瞬間だ。二塁・中野拓夢がはじく。さらに目を覆う場面は続いた。このボールを処理しに走った右翼・森下翔太が球を拾えない。連続失策だ。これを見て一走・宗佑磨は一気に生還。これで2点ビハインドとなった。ため息に甲子園が包まれたのだが、この直前に焦点を当てたい。

この回、西純矢は先頭打者の投手・田嶋大樹に四球を与えていた。「あれはエラー(級)や」と指揮官・岡田彰布は振り返った。つまり、この回は「3失策」で失点したことになるのだが時計の針を巻き戻す。

田嶋を歩かせた西純は広岡大志を三邪飛に打ち取り、場面は1死一塁に。ここで投手が島本に交代。その最初の打者・宗はセンターへライナーを放った。安打になると思ったが中堅・近本光司はこれに猛ダッシュし、捕球するようなポーズ。打球は近本の前で弾んだのだが、この動きにはまったのが一走・田嶋だった。

“安打”なのに二塁へ到達できず、封殺。センターゴロだ。普段はまず走者にならないパ・リーグの投手。敵将・中嶋聡も苦笑を浮かべるしかない。その後、前述した連続失策で失点してしまうのだが、このアウトがなく1死一、二塁であれが出ていたら、どうなっていたか。しぶいワンプレーで試合の流れをかろうじてせき止めたとも言える。

近本 パ・リーグの投手だったので、そんな走塁する場面もないと思うんですけど。もうちょっとうまく(フェイク)したらよかったかな、とは思います。

近本は控えめに話したが外野守備走塁コーチ・筒井壮は称賛した。「あれはいつも心がけているプレーですけど、ボクも思わず『早く投げろっ!』と言ってましたね。走者が投手だったのでそこがキーでした。すべての動きが満点のプレーだったと思います」。

大逆転の8回にも安打を放つなど打撃で貢献した近本は守備でも隠れたファインプレーを見せたと言える。頼れる「1番・中堅」の存在は大きい。(敬称略)(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

阪神対オリックス 7回表オリックス1死一塁、宗の中前の打球を二塁封殺し、中前ゴロにする阪神近本(撮影・藤尾明華)
阪神対オリックス 7回表オリックス1死一塁、宗の中前の打球を二塁封殺し、中前ゴロにする阪神近本(撮影・藤尾明華)
日本シリーズ第5戦 阪神対オリックス 1回裏阪神無死、右前打を放つ近本(撮影・菅敏)
日本シリーズ第5戦 阪神対オリックス 1回裏阪神無死、右前打を放つ近本(撮影・菅敏)
阪神対オリックス 8回裏阪神無死一、三塁、近本は右適時打を放つ(撮影・加藤哉)
阪神対オリックス 8回裏阪神無死一、三塁、近本は右適時打を放つ(撮影・加藤哉)