長かった気もするが短いような感覚も。同時に数カ月ではあるけれど長い期間だったような気もするのだ。火の玉クローザー・藤川球児が前監督・岡田彰布(現オーナー付顧問)の後を受け、阪神の指揮官となり、いよいよ新しいシーズン、開幕を28日に迎える。

「いろんな人生観というところが出てくると思う。3連戦のゲームの流れも人生とともに出てくるんじゃないかなと思う」

その開幕を前にした27日、マツダスタジアムで広島監督・新井貴浩とともに記者会見に出た新指揮官・藤川球児は開幕3連戦に向けた抱負を独特な表現で語った。いかにも球児らしい話だなと思った。

「実際に起こっていることを書くと言うより、それに対して高原さんが思ったことを自分の視点で好きに書いてるんですよね」。これは球児が以前、こちらに言った言葉だ。ひと口にコラムといっても、いろいろなパターンがあるが当欄は主観中心に勝手なことを書かせていただいている。

球児は選手時代から、読んでくれていたようで、的確に説明した。そう言われると妙に恥ずかしいのだが、まったくもって球児の言う通りだろう。そんなこちらに就任以来、彼が繰り返してきたのはこういう言葉だった。

「遊んでください。『虎になれ!』のコーナーで。勝っても負けても」。少し説明が必要かもしれないが、要するに好きに書いて読者、つまり野球ファン、阪神ファンを楽しませてください、というような意味だと思っている。プロ野球は勝負の世界。アマチュアとは違う。結果がすべてだ。岡田もよく言っていたことだが「プロには善戦はない」ということである。

同時に、敗戦を味わうのもプロの醍醐味(だいごみ)ではあると思う。例えば全力でプレーするからこそ、1つのミスで流れが変わる。「あそこであんなミスがなければ…」。そんな話を職場で、酒場で交わすのもプロ野球ならではの楽しみ方だとは思うのだ。

勝負の世界だが、同時に興行でもある。いかにワクワク、ときにハラハラ、ドキドキ、たまにはヤキモキ、イライラさせてくれるか。それも楽しいし、そういうムードをメディア側にもつくってほしいという意味での「遊んでくれ」なのだろう。まあ、違うかもしれないが。泣くか笑うか、それとも…。新しいシーズンの始まりである。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

セ・リーグ公式戦2025開幕前日記者会見で、笑顔で握手を交わす阪神藤川監督(左)と広島新井監督(撮影・前田充)
セ・リーグ公式戦2025開幕前日記者会見で、笑顔で握手を交わす阪神藤川監督(左)と広島新井監督(撮影・前田充)