なぜ岡田彰布(前監督、オーナー付顧問)が仙台のローカル放送に出ているのか。試合中に流れる各スポーツ紙発のネット記事を見て、そう感じた虎党もいたかもしれない。

岡田は仙台の東日本放送(テレビ朝日系)で以前、放送されていたスポーツ番組で“最高顧問”を務めていた。阪神でやるより前から「顧問」だったのかと思うが、それはともかく、この日は同放送の中継にゲスト出演していた。

阪神が6連敗を喫し、虎番記者は岡田の見解を聞きたい流れになる。だが岡田にすれば現在の立ち位置は難しい。普通に考えれば球団の人間、現場への意見を報道陣にどうこう言うのは控えたいところだ。

それでも就任当初、球団幹部は「解説の仕事とかもしてもらって結構。批判も同じです」と説明していた。建設的な意見はどうぞ、ということである。タイプ的には難しいのだが。

だからか「(考えは)あるけど、そんなん言われへんやん」などと、遠慮気味だった。それでも我慢できなかったのが佐藤輝明のあの走塁だったようだ。

言うまでもない、延長11回の打席だ。この回、先頭の佐藤輝は江原雅裕の変化球を拾い、打球はセンターへ。「いったか」と思ったが柵越えせず、フェンスを直撃。打球を見ていて、スタートの遅れた佐藤輝が一塁で止まり、単打になった場面だ。大リーグで時々、見るヤツである。

「打ったら走る。打ったらバット放って走る。当たり前のことやんか。論外やろ」と岡田は指摘。怠慢に見えるプレーに我慢できなかった様子だ。虎党にもそういう声が多いと思う。

しかし、どうにも佐藤輝を責める気にはならないのだ。チームは5連敗中。特に仙台に来て打線は湿っている。そこまでの流れを考えてもあの場面、誰もが「ここは本塁打しかない」と思っていただろうし、佐藤輝自身「いったる」と思っていたはず。そこで手応えのある当たりが出た。「よっしゃ!」と思って、思わず打球を目で追ってしまった気持ちは分かるのだ。

もちろん、いけないことだし、反省する部分であるのも事実。指揮官・藤川球児は「そこは自分の責任としてしっかり火曜(17日)からやらなければ、と思っています」と話すに止めた。佐藤輝の表情を見ていても「やってしもた」と感じているはず。大事なのはこれを生かすことだ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

楽天対阪神 11回表阪神無死、佐藤輝は右中間に長打を放つも走り出しが遅く単打となる(撮影・足立雅史)
楽天対阪神 11回表阪神無死、佐藤輝は右中間に長打を放つも走り出しが遅く単打となる(撮影・足立雅史)