野球ファンにはたまらない決戦だったかもしれない。CSファーストステージ第2戦は4時間31分の末、DeNAがサヨナラ勝利。ファイナルで阪神が戦う相手はDeNAに決まった。

好調ではないとはいえ、好投手のDeNAジャクソンが1回にいきなり5失点。しかしその裏、DeNA打線が巨人先発の戸郷翔征を攻め、同点に。その後は両軍とも併殺が複数出るなど「あと1本」が出ない攻撃が続いたが、延長11回に点を取り合った。細かい継投を含め、短期決戦の面白みが存分に出たと思う。

「最後の最後まであきらめることなく全員で戦えた」と胸を張ったDeNA監督・三浦大輔。2年続けてCSでDeNAの前に屈する形になった巨人監督・阿部慎之助は「野球っておそろしい」という言葉を残した。その通り、立場によって感じ方は違うが、野球の奥深さを存分に感じさせる試合だったと思う。

その上で決戦を待つ阪神が「他山の石」とすべき点は何か。やはり「ミスはこわい」という、当たり前と言えば当たり前のところに落ちつく気もするのだ。

1回、石上泰輝の失策がなければ5失点まではなかったと思う。その裏、巨人も同様だ。1死から桑原将志の三塁線へのゴロを岡本和真が取り損ねて二塁打に。記録は安打だが岡本の守備レベルなら処理できた打球に見えた。これをアウトにしていれば、戸郷の5失点もなかったと思う。

もちろん勝負に「たられば」はない。だが、やはりミスは影響するし、ワンプレーで流れが変わる短期決戦なら、なおのこと。普通に考えてヨーイドンの1回で“負け試合”になっていたムードを一気に追いついたDeNAに、流れが来たのかもしれない。

三浦が「大きい」と言ったように2試合で決着したことはDeNAには意味がある。東克樹を温存できたし、42球で降板したジャクソンも早めに投げられるかもしれない。阪神が苦手のケイも3戦目には投げてくるはず。何よりもこの激戦を取った勢いがある。

思えば昨年のDeNA日本一は甲子園のCSファーストステージで阪神に連勝したことがスタートだった。この日、甲子園で練習を行った阪神指揮官・藤川球児はこの戦いを見ていたようだ。感じるところは多いだろう。圧倒したシーズンの力を出せれば突破は大丈夫と思うが、腹をくくって戦ってほしい。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

DeNA対巨人 ベンチで厳しい表情の巨人阿部監督(撮影・宮地輝)
DeNA対巨人 ベンチで厳しい表情の巨人阿部監督(撮影・宮地輝)