え、待って、誰? いまの若い人風(?)に言えばそういう感じだったのである。毎年、春のキャンプではルーキーや他球団からの移籍組、さらに外国人と新加入の選手たちに注目するのは常だ。逆に以前から所属している選手については「元気そうやな」などと確認する感じかもしれない。

そんな中、前からいるのに一瞬、誰か分からなかった選手がいた。中川勇斗である。まずヘアスタイルが丸刈りに近いような短髪になっていた。それは新聞にも載っていたけれど目を見張ったのはその体つきだ。パンプアップというのか、なんだか筋肉モリモリになっているではないか。

「え? そんなに変わらないでしょう? (体重は)4キロ、アップしましたけど」。なんだかごつい見た目になった中川にそう言われ「いやいや、だいぶ感じ違うで」と少しビビったのである。打撃コーチの小谷野栄一も「この辺(腕)が変わりましたね」と笑う。

指揮官・藤川球児は「1、2軍」という表現は使わないそうだが、事実上、1軍の宜野座で初日から汗を流している中川。やはり持ち味はフルスイングか。この日のフリー打撃でも44スイング中、5本の柵越えを放つなど飛距離のあるところを見せていた。

キャンプ前に虎党、野球ファンからもっとも注目されていたのはドラ1ルーキーの立石正広だろう。だが自主トレ中の故障で、現在は、実質2軍の具志川で調整を行っている。この日は屋外でノックを受けたようだが、なにしろ、ドラフトのクジ引きで獲得した新人だけに注目度は高く、ファンの多い宜野座に来る日が待たれる。

その立石は、内野、三塁手だが佐藤輝明がいる以上、サードは埋まっており、試合に出るなら外野、特に左翼になるという見方が多い。球児体制になった昨季レギュラーとしてメンバーがはっきり固定されなかったのは遊撃と左翼だ。

だが、もちろん、左翼を狙うのは立石だけではない。そんな中、いまだに捕手登録だが捕手の練習は、見えるところではやっていない中川もその1人だろう。

今季は高卒5年目だ。ということは大卒ルーキーを同じ学年になる。学年は同じでもプロでは4年先輩というところを見せられるかどうか。「いや、頑張りますよ、今年は」。見た目同様に堂々と話してくれた中川。その奮闘にも注目していきたい。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

2025年11月、サブグラウンドをダッシュする中川勇斗
2025年11月、サブグラウンドをダッシュする中川勇斗